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「サマー・サイエンスキャンプ 2012」を開催

-見て、創って、体感するナノの世界-

2012.08.01
(2012.08.07 更新)

MANAは科学技術振興機構との共催で、8月1日から3日までの3日間にわたり「サマー・サイエンスキャンプ2012」を開催しました。全国より選抜された10名の高校生が、3つの実習、観察を通じてナノスケールでの物作りの面白さや難しさを体験しました。

全国から10名の高校生が参加



ナノスケールの世界を見る

走査型電子顕微鏡(SEM)で微細構造の観察

SEMの原理・特徴についてレクチャーを受けた後、SEMを使って生物や結晶など様々な物の微細構造の観察を行いました。ナノスケールで物を観察するためには、光を使った光学顕微鏡ではなく、光より波長の短い電子を使ったSEMが必要であることを学びました。

SEMを操作しながら画像の撮影に挑戦


蝶の鱗粉の拡大画像を撮影しています



透過型電子顕微鏡(TEM)で原子を観察

TEMの原理・特徴についてレクチャーを受けた後、半導体チップの原子レベルでの観察を行いました。さらに、EDX(エネルギー分散型X線分光)によって半導体チップのある領域に対する元素分析を行い、どのような元素からなっているのかを検証しました。

TEMを使った元素分析について説明を受けています


TEMを操作して、結晶格子画像を撮影



クリーンルームで実習

リソグラフィ(現像)に挑戦

クリーンルーム内で、半導体プロセスで使われる現像プロセスを実習体験しました。参加者らは無塵服(むじんふく)を着用して、感光性材料を使った基板上への現像加工を行いました。加工は「ネガプロセス」班と「ポジプロセス」班に分かれて行い、加工終了後に光学顕微鏡下で両者の現像の違いを比較し、その原因を考察しました。

ピンセットで摘んだ基板を慎重に水洗い


回路に対する塵の影響を検証しています



続いて、塵の有/無で2種類の金電極線をフォトリソグラフィで作製し、ナノスケールでの塵の電極線への影響について検証しました。SEMによる回路の構造観察と電圧—電流測定結果から、ナノサイズの塵の存在によって回路に欠損が生じたり、回路全体がショートしたりする可能生があることや、半導体プロセスには塵の無いクリーンルーム環境が必要であることを学びました。

実習結果をプレゼンテーション

サイエンスキャンプ最終日に、3日間の実習・観察から得られた結果をまとめ、班ごとにプレゼンテーションを行いました。それぞれの班の発表後、講師から質問やコメントも出され、最後は参加者全員に修了証が贈られて、MANAのサイエンスキャンプは無事に終了しました。

A班の発表


B班の発表



その他の催し

レクチャー、交流会

初日のプログラム実習の後は、板東義雄 MANA 最高運営責任者(COO)による「研究者の夢:ノーベル賞とセレンディピティ」と題したレクチャーを楽しみ、その後に行われた交流会では、食事をしながら講師やMANAの若手研究者らと歓談しました。

板東義雄 MANA COOによるレクチャー


MANAの若手研究者に熱心に質問する高校生