水素液化技術における非効率性は、水素の低コスト化やゼロボイルオフ化を妨げるボトルネックとなっている。本課題では磁気冷凍技術を用いた新しい革新的水素液化技術を開発する。これによりモビリティから水素発電までの多様な水素エネルギーの普及を先導する。
研究概要:
液体水素は気体水素の1/800の体積で、大量輸送、大量供給、大量貯蔵、省スペース等の特長があり、水素エネルギーの本格的な普及には欠かすことができない。しかし、液化点が20K(-253℃)の極低温のため、液化には相応のエネルギー投入が必要であり、高効率化が不可欠となる。既存の気体冷凍技術は、圧縮機や液化方法に原理的な非効率性を内在しており、 50%を超える液化効率の達成は容易ではない。
本課題では、原理的に高い冷凍効率が期待できる磁気冷凍法を用い、磁気熱量効果の大幅な増加(従来比3倍)、ナノレベル表面改質による熱交換やコーティング技術、および高効率と大容量を両立させる新しい磁気冷凍サイクル等のボトルネック課題に挑戦する。これらの解決により、①液化効率50%以上、液化量100kg/day以上を実現する中・大型高効率水素液化機、②液化水素ゼロボイルオフを目指した小型・省電力な冷凍機を開発し、この分野での国際競争力を高めるとともに、我が国における水素基本戦略を大きく加速させる。