HAp/Col多孔体質補填材

水酸アパタイト/コラーゲン骨類似ナノ複合体多孔質骨補填材

 

このHAp/Col多孔体は湿潤環境、つまり骨欠損部に埋入する条件で、右に示す通り、スポンジのように変形します。

そのため、HAp/Col多孔体は、これまでの硬いセラミックス製骨補填材と異なり、様々な形状の骨欠損部にフィットし、骨の再生を速めることができます。

また、例えば骨を造る細胞である骨芽細胞を含む細胞懸濁液中でHAp/Col多孔体を一度押しつぶした後に元に戻せば、容易に細胞懸濁液を多孔体の中に導入することができます。

HAp/Col多孔体はリモデリングに取り込まれることも含め、今までにない機能を持った骨補填材で、整形外科を始め歯科などでも応用されています。

 
スポンジのように変形するHAp/Col

HAp/Col内で培養した細胞が作り出したリン酸カルシウム
HAp/Col内で培養した細胞が作り出したリン酸カルシウム

ヒトの骨芽細胞に近い性質を持つMG-63という細胞をHAp/Col多孔体内で培養すると、その細胞は21日目には骨の無機主成分であるリン酸カルシウムを作り出します。同じ期間、同じ条件でコラーゲンスポンジ内で培養した細胞には見られない現象です。

遺伝子発現などから見ても、細胞がリン酸カルシウムだけを 析出したとは考えにくく、HAp/Col多孔体内の細胞は周囲環境の影響を受けて、骨と類似の物質を析出したと考えられます。

骨に埋入したHAp/Colが新しい骨に置き換わっていく時にも、類似の現象が起きていると考えられるので、現在、骨形成に詳しい北海道大学歯学研究院の網塚憲生教授、長谷川智香准教授と、 HAp/Colの骨欠損部内での初期反応を詳細に検討しています。



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