磁束状態の相転移と相図

 従来の磁場中での超伝導体の相図は、磁場の侵入を許さない完全反磁性相、磁場が磁束量子の形で入り込み規則的な格子を形成する磁束格子相、そして常伝導相とから成ります(図1)。これは平均場をもとにした相図ですが、熱揺らぎが強くなると、もはや適用できません。これに代わり磁束格子が融解することにより超伝導性が失われるという融解相転移が起こることが示唆されていました(図2)が、その詳細な熱力学的な性質は知られていませんでした。ここにそれを調べた計算結果を示します。
図1


図2


図3


図4
 図3の鋭い比熱のピークが磁束格子の融解(図4のブラッグピーク参照)に伴う一次相転移です。このとき超流動性の目安となる変数Υが不連続に消失する様子が図4から分かります。このような比熱ピークは、ほぼ同時期に実験的にも確認されました。

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