磁束のピン止め

 欠陥を導入して磁束量子をピン止めし、磁束の挙動を制御することで、系の超伝導性も制御することができます。このため、重イオン照射により導入した柱状欠陥の効果が盛んに研究されています。また、実際の結晶には酸素欠損などの形で点欠陥も必ず含まれ、磁束状態を決定する重要な因子となっています。このような、欠陥のランダムネスと磁束の熱揺らぎが共存した系は、極めて取り扱いの難しい「複雑系」とみなすことができます。私達は数値的シミュレーションの立場から、このような問題の系統的な理解を得ることを目指しています。点欠陥を含む磁束系に関して得た相図を右に示します。磁束スラッシュ相を含む4つの相を、単一のモデルから導出した初めての理論的研究です。現在、柱状欠陥を含む磁束系についての研究も進行中です。