先進各国において社会インフラの老朽化が進行しており、社会の安全・安心を確保するためスマート材料と呼べるような新材料の実用化が期待されている。世界に先駆け構造材料の変形や歪みを可視化する新材料がNIMSで開発された。この新材料をシートとして対象物へ貼り付け鉄鋼やコンクリートの構造体の変形やひび割れを色の変化として可視化される。このシーズを土木分野ニーズにマッチングするため実用化に必要となる各種要素技術の開発を目指した。
・シートの施工法開発:既存技術を応用してひずみ可視化シートのコンクリート橋梁への施工法開発
・耐候性評価:内陸部(つくば市)及び沿岸部(沖縄県)での暴露試験及びシートの劣化評価法開発
・コンクリート載荷試験:共同研究機関と連携してコンクリート供試体の載荷による構造色変化の検証
・ひずみ可視化シートの製造:ラボレベルでA3サイズのひずみ可視化シートの50枚/月に対応可能
・屋外に施工したシートの遠隔監視技術開発: 電力自給で定時撮影画像を送信、Web上で一覧表示
・シートの簡易評価技術開発: 携帯端末内蔵カメラを利用しリアルタイム画像解析で変色域を抽出
・シートの耐候性向上:ひずみ可視化シートの紫外線劣化を抑制する保護層の形成とその評価法
・現状のひずみ可視化シートの供給体制を活用し、ユーザーのR&D活動へ協働あるいは支援。
・メーカー企業へ技術移転によりユーザーのニーズに応じたひずみ可視化シートの機能設計、耐久性、施工法、画像撮影法など各要素技術を本格的に開発。また、コンバーテック技術によるシートの量産化を可能とする製造プロセスの開発。機能素材としてのシート供給体制確立。
・地方自治体の管理する莫大な数の中小橋梁への適用:所管者が地域住民と協働して橋梁の健全性をが見守る。住民がスマホ(タブレット)で撮影した画像を画像処理アプリで解析支援、専門家との情報共有できるよう公衆回線などネット経由しサーバーへ蓄積、データの利活用。
社会インフラ以外の産業インフラ、輸送機関など幅広い応用展開が期待される。ニーズ側と協働してひずみ可視化シートの適用事例を蓄積。また、コンバーテック技術によるR-to-R塗工プロセスのような工業化可能な量産化プロセスを開発しシートの製造コストの低減を図る。