コンクリート内部環境の高精度センシングの開発
NIMS研究者
西村 俊弥
参画研究者
 
研究開発の目的

 鉄筋コンクリートの劣化を把握するために、独自に電気化学センサーを開発し、コンクリート内部の環境因子(塩分、pH等)のセンシング技術を開発する。さらに、本技術を実際の橋梁や港湾設備等に適用できるように応用技術を確立する。

研究開発の内容
(1)電気化学センサーの特徴


(2)内部センシングシステムの確立

図 コンクリート内部の環境と鉄筋腐食測定
(3)道路橋での内部塩分濃度のその場測定(NEXCOと共同)


(4)自動モニタリングシステムの開発(土木研と共同)

 ソーラーパネル等利用による自動連続測定を達成


(5)鉄道橋でのモニタリング(JRと共同)

 再アルカリ化施工後の追跡調査にpHおよび塩分センサーを利用(H30年1月~)。


(6)港湾リプレイサブル桟橋へのセンサ適用(地整と共同、H30年冬開始予定)

 新規開発した本桟橋にセンサーを適用し、耐久性に関する実証試験に利用する。
 伏木富山湾新港地区延伸工事


(7)技術伝承(地方との連携)

 琉球大学および土木学会西部沖縄会を対象として内部センサーの説明および測定の実演を行った。


(8)技術の保存(土木研と共同)

 橋梁への適用技術を纏め(論文提出済)、今後、PR活動等も行っていく。

図 はつり距離と塩化物量

「塩分センサを活用したはつり面の塩分量測定方法の提案」:コンクリート構造物の補修、補強、アップグレード論文報告集、2018、18、1059.
(内容)
コンクリートはつり作業時にその場で塩分量を測定し、はつり量の制御が可能

研究開発された技術・成果(まとめ)

・コンクリート内部の環境(塩分、pH等)を独自に開発した電気化学センサーで測定可能とする技術を構築した。

・本センサーは、高精度、低コストであり、コンクリートの損傷が微小である利点を持つ。

・コンクリート内部環境を橋梁のその場で測定できる技術を確立し、NEXCOの道路橋に適用した。

・コンクリート内部環境を長期モニタリング技術を確立し、JRの鉄道橋に適用した。

・新設の桟橋へ本センサーを適用する技術を構築した(30年冬開始)。

実用化イメージ

・既に、JR、NEXCO、地整において本センサーの適用を進めている。現場の技術者に良く理解してもらい、技術の定着を図る。

・土木研究所と共同で橋梁への適用技術を纏め(論文提出済)、今後、PR活動等も行っていく予定である。

・地方への技術伝承では、沖縄において琉球大や土木学会沖縄会に対して説明および実演を行い、現在、先方での調査が進んでいる。

未来への展望

・土木研究所とも協力して、技術のマニュアル化や普及を目指していく。