
景山 義之 助教
生命システム模倣としての分子集合体の自触媒反応と自律運動
◆要旨◆
有機化学の延長から勃興した生体模倣化学は、近年、自己組織化の概念を含むことにより、分子システムとして生命現象を捉え模倣する融合領域の化学へと移りつつある。自己組織化の結果として、生命は、分子で巨体を構成すること、動き続けること、考えること、子孫を残すこと、あるいは安定な生態システムの中で生きること、などができている。
一方、自己組織化の研究は、対象とする系の捉え方によって見えてくる事柄が変わる。また熱力学もややこしい。このため、本質とは大きく、あるいは紙一重ずれたところで研究が進んでいる節もある。逆に、研究や学際融合の進展とともに、本質的理解が大きく進みうる、面白い研究領域でもある。