各種データ

日本国内に蓄積された希少資源の量とは

2008年1月11日発表のプレスリリースにて、NIMSの原田幸明 材料ラボ長(役職名は当時)は、これまでわが国内に蓄積されリサイクルの対象となる金属「都市鉱山」の量を算定し、日本の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵する規模になっていることを明らかにしました。

わが国に蓄積された都市鉱山の規模を計算

世界埋蔵量の一割を超える金属が多数あることが判明

計算によると、金は、約6,800トンと世界の現有埋蔵量42,000トンの約16%、銀は、60,000トンと22%におよび、他にもインジウム 16%、錫11%、タンタル10%と世界埋蔵量の一割を超える金属が多数あることが分かりました。また、他の金属でも、国別埋蔵量保有量と比較すると白金などベスト5に入る金属も多数あります。

都市鉱山が安価に放出されている状況も

これまでも、国内のリサイクル資源に関し、鉄、銅、アルミニウム、鉛などでは、それらのスクラップが既に重要な原材料供給源となっていますが、国内の都市鉱山資源が、使用済製品としての随伴物の「廃棄物処理」との“あわせわざ”で、本来得られる価値よりも安価に放出されている状況も見られています。天然鉱山では粗鉱から品位の高い精鉱にして輸出・利用しているように、都市鉱山資源も「都市鉱石」として、より積極的に有効に活用していくことが必要なのではないでしょうか。

※都市鉱山開発を天然鉱山の利用になぞらえて、天然鉱山開発で言う「選鉱工程」から得られる「精鉱」に相当するもので、使用済小型電子機器から不要物をあるていど分離除去して金属の抽出を容易にするために処理を施し、目的金属の濃度や抽出しやすさを高めたもの。

計算結果について

蓄積量としてのわが国の都市鉱山規模の推定計算結果

世界の年間消費(t)、世界埋蔵量(t)および日本の都市鉱山蓄積量(t)の表※2画像世界の年間消費(t)、世界埋蔵量(t)および日本の都市鉱山蓄積量(t)の表※2 (クリックで拡大)
左から4列目(黄色網かけ部分)が、今回得られた計算結果で、鉄で12億トン、アルミで6千万トン、銅が3800万トンになっています。
この中で「鉄」の蓄積量を見てみると、(社)鉄源協会がマテリアルフロー※1を仔細に追って算定した鉄の2003年の蓄積量12億7千万トンとほぼ一致しており、産業連関表※3を用いた方法でも十分に推算できることが裏付けられます。
※1 人間社会における物質の流れを指す。
※2 左から二、三列目の「世界の年間消費量」と「埋蔵量」は、現時点で最も権威があるとされている米国鉱山局のデータを使用しており、米国鉱山局の情報更新に合わせて随時データを更新しています。
※3 国内経済において一定期間(通常1年間)に行われた産業ごとの財・サービスの取引額を一つの行列(マトリックス)に示した統計表で、経済構造の把握、生産波及効果の計算などに利用されています。

世界の埋蔵量との比較

日本の蓄積量/世界の埋蔵量(%)のグラフ画像日本の蓄積量/世界の埋蔵量(%)のグラフ (クリックで拡大)
各金属に対する日本の都市鉱山の規模を、世界の当該金属の現有埋蔵量に対する比率として表した表です。金(Au)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)などの電子部品などに多用され、今後世界的な需要増と供給リスクが予想される金属について、世界の現有埋蔵量に比べても大きな影響を与える規模の都市鉱山が国内に存在していることが、表から読み取れます。
※アメリカ鉱山局の情報更新に合わせて随時データを更新しています。

世界の年間消費量とわが国の都市鉱山との比較

日本の都市鉱山蓄積量/世界の年間消費量のグラフ画像日本の都市鉱山蓄積量/世界の年間消費量のグラフ (クリックで拡大)
現実にはありえませんが、“全世界の資源供給が停止し、日本の都市鉱山だけで現在の世界需要をまかなったら何年持つか”という仮定の計算を行ったところ、右のような結果になりました。多くの金属について、世界の2~3年相当の消費量に匹敵する蓄積が国内の都市鉱山にあり、特に、電池材料として期待されるリチウム(Li)や触媒、燃料電池電極として不可欠とされる白金族(PGM)の蓄積量が大きい事が分かります。



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