レアメタル問題

レアメタル問題とは資源リスクの問題

レアメタルが、産業に対して非常に重要な役割を担っていることは、「レアメタルの基礎知識」コーナーで簡単に述べました。しかし、それは見方を変えれば、その資源を巡って何らかの問題が生じた時には、産業や私たちの生活に大きな影響を及ぼす「資源リスク」にもなり得ます。このページでは、この資源リスクについて解説します。

資源リスク増大の二大要因

資源リスクとは、エネルギーや資源が需要の増大に対して供給不足に陥り、社会不安を招く恐れのある状況を指します。気候変動の問題が切迫した課題として国際的な取り組みが始まろうとしていますが、資源問題もBRICs諸国等の急速な経済発展をうけ、社会の持続可能性の危機に面していると言えます。

資源リスクの増大は、以下の2点が大きな要因になっていると考えられます。

  • 地球レベルでの経済の急速な拡大
  • グリーンニューディール政策など現状打破のためのエコ・イノベーション新技術への期待

経済の急速な拡大

画像
18~19世紀の産業革命以降、目覚ましい工業発展とともに経済活動も大きく発展しました。発明や技術革新が市民生活にも波及することで、生活レベルが向上し、それに伴って消費行動も活性化したためです。近年のハイテク産業により、市民生活はますます快適・便利になり、世界中の人びとが物質的な豊かさを追求するようになりました。また、BRICs諸国の急成長で世界的な生産・消費活動もますます加速しています。こうした動きは資源消費を加速化している事にも繋がっていると言えます。

エコ・イノベーション新技術への期待

レアメタルとエコイノベーションの関係図画像レアメタルとエコイノベーションの関係図 (クリックで拡大)
さらに近年では産業発展に伴うCO2排出など地球環境問題にも注目が集まりました。その結果、地球温暖化対策のひとつとして各方面で期待される新エネルギー技術関連だけを見ても、今後は、白金(Pt)、希土類をはじめ、多くの機能性希少金属が使用され、また、それらの設備関連でNi、Znなどの構造用金属が大量に使用されると予想されます。

また、資源リスクには、価格変動や資源の地域的偏在など経済性・政治性の強い供給様式にかかわる側面と、資源の希少性や枯渇など資源そのものに係わる側面があります。

資源制約の4要素

量的要素

現有技術で掘りだせる絶対量に限界がある
Au, Cu, Zn

地政学的要素

1-2カ国に資源が偏在
Pt, Nb, Dy

製造技術的要素(エネルギー要素)

電力価格等に依存
Ti, Al, Mg, Si

環境要素

廃水、廃鉱石など環境コストの増大
希土類レアメタル

資源偏在リスク

資源の偏在と消費の偏在が生む問題


資源枯渇リスク

資源枯渇による様々なリスク



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