都市鉱山の開発

どのようにリサイクルすればいいのか

日本に多く蓄積されている都市鉱山資源。持続可能社会のためにも、限りある資源のリサイクルは重要です。では、多くの製造物に埋もれている都市鉱山を掘り出す-開発するには、どのようにすればよいのでしょうか。またその実現にはどのような課題が残されているのでしょうか。

都市鉱山開発と天然鉱山開発の比較

都市鉱山化と天然鉱山のフロー比較図画像都市鉱山化と天然鉱山のフロー比較図 (クリックで拡大)
天然の鉱山から金属を採取するのにいくつかの手順を踏むように、都市鉱山から金属を抽出するのにも手順が必要で、それは天然鉱山を採掘するのに少し似ています。例えば、鉱山から採取した鉱石から金属を得るために「選鉱」→「精錬」を行いますが、同様に都市鉱山では「分離」→「再生」という手順を経て素材にします。


都市鉱山から希少金属を再生するには

都市鉱山から金属を再生する方法は二つ

希釈型と抽出型の二つの再生方法画像希釈型と抽出型の二つの再生方法 (クリックで拡大)
抽出型のプロセス負荷の本質画像抽出型のプロセス負荷の本質 (クリックで拡大)

希釈型

スクラップと高品位材料を混ぜ合わせて希釈することで、素材として使用できるレベルに再生させる方法。鉄やアルミ、ガラス、紙等で使用されている方法です。

抽出型

廃棄物等からできるだけ高純度に抽出することで、素材として再生させる方法です。レアメタルや貴金属等、純度が必要とされる素材で使用されます。

ただし、抽出にかかるコストは、廃棄物に含まれる他の素材=不純物の量・内容に左右され、抽出後に出た不純物も処理を要します。


都市鉱山開発の4つの壁とその解決

都市鉱山から希少金属を再生するにはに戻る


天然資源に乏しい日本にとって都市鉱山開発は大きな可能性を持ち、世界的に厳しい経済情勢の中、ますます重要な課題になってきています。使用済み携帯電話や小型電子機器を回収し、そこから希少金属を取り出そうという取り組みが、一部の業界団体や自治体によって開始されていますが、以下の4つの「壁」が立ちはだかります。

4つの壁

分散の壁: 希薄分散型発生源対策

携帯電話機をはじめ、多くの小型電子機器が個々の消費者の手元に分散して存在しており、それらを効果的に集めなければ、リサイクルのプロセスにかけるのが難しいという問題。
  • 鉱山は自然が濃縮(濃集)→人為的システムによる回収、濃縮、蓄積が必要
  • または、量を集めなくても処理できる技術が必要

廃棄物の壁: 都市鉱石型廃棄物の問題

小型電子機器がいかに希少金属を含んでいても、多くの部分はプラスチック等であり、希少金属だけでなく、それらの有効利用の場も考えなければならないという問題。
  • 多くの人工物質を含有→分離が必要
  • 濃縮・蓄積を困難にしている一因

コストの壁: 解体、分離、選別、抽出

携帯電話でさえ、一台100円程度の希少金属しか含まれておらず、それより低い処理コストでこれらの希少金属を回収しなければならないという問題。
  • 「人による認識」に勝る安価な技術の確立が望まれる
  • アセンブリーテクノロジーの延長線では解決しない
  • 大量・良質の処理で発展してきた製錬技術とは異なるアプローチも

時代の壁: 20世紀型リサイクルからの脱却

  • 加工屑ベースのリサイクルの限界
  • 易解体設計が不可欠

壁の打破に挑む技術の開発

小型家電から希少金属を経済ベースで回収するためには、これらの壁を乗り越えられるシステムや技術の開発が必要なものの、現状、これらの開発はその端緒についたばかりで、これまで本流になるような技術は見出されていませんでしたが、4つの壁のうち「分散の壁」と「コストの壁」に挑む技術をNIMSが民間企業と共同で開発しました。

開発技術

人手をかけずに使用済電子機器から「都市鉱石」を製造



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