第8回超鉄鋼ワークショップ開催報告


  第8回超鉄鋼ワークショップが、平成16年7月21, 22日につくば国際会議場で開催されました。関東地方で軒並みに史上最高を記録する猛烈な暑さの中、朝早くから12カ国267名の皆さんにご参加頂きました。今年はパラレルセッションを二つに絞り、できるだけ望みのセッションに参加頂けるようにしました。また、資料代として3000円の参加費をご負担頂きました。

   「鉄鋼技術研究の世界動向」をテーマとした基調講演では、韓国及び日本から両国で行われている鉄鋼プロジェクトの成果、使われる材料を目指した研究ネットワークの取り組みについて報告がありました。また、新たな試みとして、材料の周辺技術分野からお話を頂きました。今回は、本号巻頭言を書いて頂きましたde Meester先生から溶接性と材料開発の密接な連携の重要性について話して頂きました。

  今年のワークショップの主題は「新構造の提案と求められる材料技術」です。技術討論会では、超鉄鋼を活かす新しい構造設計と、材料に求められる特性について、土木・建築分野の皆様と専門領域を超えた議論を行いました。超鉄鋼を活かす新しい構造の提案があり、具体的な設計の試算結果が示されるなど、材料にとって必要な特性がより具体的となり、非常に有意義な討論会となりました。共催を頂いた日本鋼構造協会の皆様に深く感謝致します。その他技術討論会では、超微細粒鋼、高強度鋼の溶接についても、熱心な議論を頂きました。

  ポスターセッションでは、約70件の最新情報が発表されました。今年からショート・トークプレゼンテー ションのコーナーを設け、各発表者から2分間ずつ講演の概要を話して頂きました。短時間で多くの発表の内容が分かると評判が良く、来年も是非続けていきたいと考えております。

  研究要素討論会では、最新ナノインデンテーション技術とその応用、リサイクル材の新凝固プロセス、650℃超級USCプラント用先進耐熱材料について、国際的に著名な研究者の皆様から興味ある講演をして頂きました。非常に専門性の高い議論から、国際的な技術動向まで幅広い議論が行われました。

  初日の夜行われた懇親会では、楽しいアトラクションがありました。ホルンの演奏です。右の写真で、マウスピースが輝いているのがおわかりでしょうか。これは、当センターで開発したニッケルフリー高窒素ステンレス鋼を用いた体に優しいマウスピースの試作品第一号です。演奏者の濱一さんのお話によると、「私のブラスのマウスピースよりクリアーな音が出、私は好きです」とのことでした。今後こんな楽しいアトラクションがどんどん出てくることを願っております。

  超鉄鋼ワークショップは、専門領域を超えた人達と学際的な議論ができる場を提供します。来年は7月22, 23日に開催を予定していますので、ぜひお越しになって、議論に加わって下さい。今年の発表に興味がおありの皆様には、概要集を販売しております。ホームページからお申し込みください。

(超鉄鋼ワークショップ実行委員会 塚本 進)


基調講演における討論風景


高窒素ステンレス鋼マウスを用いたホルン演奏
 


[戻る]