超鉄鋼ワークショップ in Paris 開催報告


97年に第1期がスタートした超鉄鋼プロジェクトは、今年度が第2期の最終年度にあたります。この節目に、NIMSでは、本プロジェクトの成果を広く世界にアピールし、構造材料研究の将来展開を世界中で考えるための活動としてStructural Materials Caravanを今年度から展開しております。この一環として、2005年12月15, 16日、パリにおいて超鉄鋼研究の国際ワークショップを開催致しました。フランス鉄鋼協会 (ATS)、フランス金属学会 (SF2M) とNIMSの3者が共催し、ATSが主催する鉄鋼技術研究の年次講演大会 (International ATS Steelmaking Conference) の特別セッションとして企画されたものです。5会場で2日間にわたって開催された会議の参加者は全体で約600名、このうち超鉄鋼セッションへは約100名の参加があり、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

岡田NIMS名誉顧問のopening address (写真)の後、岸理事長よりStructural Materials Caravanの趣旨説明、長井センター長より超鉄鋼プロジェクト成果の概要紹介を行って、セッションが開始されました。主なセッションの構成は、(1) UFG and SPD: microstructural evolution, related properties、(2) TWIP-TRIP、(3) Corrosion and Creep Resistance、(4) Fine Precipitationとなっています。招待講演として、牧正志先生(京都大)、欧州地区からはDr. G. Buzzichelli (CSM,伊)、Prof. W. Bleck (RWTH Aachen,独)をはじめとする著名な研究者の方々に最新の成果を含む鉄鋼研究の動向について紹介頂きました

NIMSからは7編の成果報告を行い、セッション全体で31編の論文が発表されました。討論も活発に行われ、NIMSからの発表には多くの質問が集まり、欧州の先端鉄鋼研究者との議論を深める大変貴重な機会となりました。また、会議の参加者の中には、先端材料を製品化するための投資コンサルティングを行う欧州企業からの参加者が多く、この会議がニーズとシーズのマッチングを進める重要な機会として機能していることは、非常に興味深い点でした。Structural Materials Caravanは、今後も各地・各分野で展開する予定ですが、NIMSの成果普及と研究者交流を世界的に進める機会として、さらに充実させていきたいと考えています。 

   

(担当:津崎兼彰、大村孝仁)


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