5th Workshop on HIPERS-21参加報告


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標記ワークショップが8月25〜26日に韓国:浦項製鉄所(POSCO)で開催されました。POSCOを中心に進められているHIPERS-21 (High Performance Structural Steels for 21st Century) プロジェクトは、昨年度で第1期(5年)が終了し、ワークショップはその報告会を兼ねたものです。基調講演4件、技術講演12件、ポスター発表34件が行われ、その大部分はHIPERS-21プロジェクト第1期の成果報告でした。私たちの他、中国、イタリアから来られた方を含め、100名ほどが参加しました(写真1)。

POSCO Tech. Res. Lab.のWung-Yong Choo氏の基調講演といくつかの技術講演、ポスターによれば、同プロジェクト第1期では、特に以下の研究で優れた成果を収め、今年から始まっている第2期にて実用化を目指すようです。

  •  歪誘起動的変態による微細粒鋼の製作
  • TiNによる溶接HAZでの粒成長の抑制
  • 多電極高速溶接システムの開発
  • 微細粒鋼と高延性鋼のflexible-stiff混合構造体
  • 2相組織により遅れ破壊を抑制した1300MPa級高強度ボルト材の開発
  • Caを添加した海洋環境での耐候性鋼

講演のいくつかは、NIMSをはじめ日本で開発された解析・評価法が参照されており、日本の研究が充分に検討されていることが伺えます。また、コストや大型化、製造プロセスを最初から考慮した研究が多く、一部には工場での生産や実機への応用を目指した大型化の研究が既に始まっており、試作品が会場の玄関ホールおよび玄関脇に展示してありました(写真2)。

NIMSからは長井センター長、津ア副センター長が、超鉄鋼研究センター(SRC)における最近の研究活動、および産学官共同研究の効果的推進プログラム「超微細粒薄板の創製とその自動車への利用」について報告しました。また、SRCの5グループから各1人が参加し、それぞれの研究成果をポスターで発表しました。多くの方に興味を持っていただき、活発な議論を行いました。特にポスター発表では、若い研究者から多くの質問をいただき、私たちの研究ノウハウや情報を、少しでも多く吸収しようとする意気込みが感じられました(写真3)。

講演後のプラントツアーでは、5基の高炉と多くの工場が並ぶ製鉄所内をバスでまわった後に、初出銑30周年を記念して、今年7月に創られたばかりのPOSCO博物館を見学しました(写真4)。創業計画、工場建設、初出銑と、豊富な資料と効果的な展示を使って、POSCOの歴史が分かりやすく説明されていました。初心を忘れず、常に世界をリードし続けようとするPOSCOの気概にあふれていました。

(超鉄鋼研究センター 川口 勲、小林 能直、西村 俊弥、原 徹、戸田 佳明)
 


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