日本−スロバキア溶接・接合セミナーおよびIIW2005報告


日本−スロバキア溶接・接合セミナー−最新の溶接技術 (Pre-Assembly seminar Japan - Slovak in Bratislava −Recent development in welding−)が、平成17年7月7、8日にスロバキアのブラチスラバで開催されました。本セミナーは、超鉄鋼研究センターとMOUを締結しているスロバキア溶接研究所 (Welding research institute-industrial institute of Slovak Republic, VUZ)と大阪大学接合科学研究所との共同企画により開催されたもので、溶接技術に関する最新のデータを基に討論が行われました。参加者は、スロバキア(約32名)、チェコ(2名)、日本(6名)であわせて約40名でした。

溶融金属の濡れ現象の解析を初めとする基礎的な研究から、Friction Star Welding (FSW)の金属組織的検討、低変態温度溶接材料に関する基礎的検討と適用、ペンストック用の高強度材の適用と規格化に関する報告、品質保証型の新しい切断技術等に関して幅広い分野からの発表が行われました。日本からはNIMS超鉄鋼研究センターおよび大阪大学接合科学研究所、群馬大学、栗本鉄鋼(株)より6件の講演が行われました。

低変態温度溶接材料については4件の講演が行われました。NIMSからは開発したハイブリッド−低変態温度溶接材料の設計思想及び純Ar中での溶接プロセスに関する報告を行いました。また、MOUを締結しているスロバキア溶接研究所(VUZ)とNIMSの国際共同研究の成果として、低変態温度溶接材料を用いた溶接継手の特性評価と中性子線法による残留応力測定結果について報告されました。スロバキアのVUZからは、低変態温度溶接材料を用いた継手のシミュレーションと継手評価、チェコの核物理研究所からは中性子放射線を用いた残留応力測定方法の報告があり、各講演とも活発な議論が行われました。ヨーロッパにおける低変態温度溶接材料についての関心の高さを感じました。

続いて平成17年7月10〜15日にはスロバキアの隣のチェコのプラハで国際溶接学会(International Institute of Welding ,IIW2005)が開催されました。40カ国475名が参加する溶接に関する大きな国際会議です。日本からは74名が参加し、溶接技術に関する最新の研究成果が報告されました。

各分野毎のレギュラーミーティングに加えて、近年ヨ−ロッパの自動車産業で盛んなレーザ・アークハイブリッド溶接に関するワークショップが開催されました。ここでは、レーザ・アークハイブリッド溶接継手の適用や応用の次のステップとして、継手の性能をあげるためのレーザ・アークハイブリッド溶接に関する発表が行われ、日本とは異なるアプローチがされています。

世界遺産の美しい町並みを誇るプラハで多くの研究者とディスカッションができ、今後の溶接技術開発へとつなげたいと思います。

セミナー会場における討論風景

 プラハのシンボルプラハ城

 

(溶接グループ 中村照美)


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