「第二回日中自動車材料ワークショップ:AMES2004」報告


中国鋼鉄研究総院のDONG Han氏の講演風景   標記のThe Second Japan-China Workshop on Automobile Materials for Environment and Safety (AMES2004)を平成16年3月11日(木)に千現地区大会議室にて開催しました。中国鋼鉄研究総院と当センターは平成14年5月にMemorandum of Understanding (MOU)を締結しましたが、ワークショップはこのMOU締結にもとづく具体的協力活動事業であり、第1回は平成14年9月20日(金)中国上海市にて開催されました。

   第2回となる本ワークショップでは、環境・安全と材料を主題として、環境負荷物質を使わない車つくり、リサイクル性向上のための車つくり、安全性向上のための車つくりと材料課題の観点から話題提供を頂き、中国及び日本が共通して取り組むべき課題を明確にしたいと考え企画されました。

   中国側5件、日本側5件の合計10件の発表(http://www.nims.go.jp/Auto-WS2004/)があり、意味深い討議がなされました。中国側の発表や質疑応答において注目された発言を順不同であげてみます。

  • 「中国、日本、韓国の3国における鉄鋼生産量と自動車生産台数は現在世界の40%近くを占めている。ごく近い将来に50%に到達する。」
    「中国の粗鋼生産量は2005年に2.5億トンに達し、2010年には3億トンを上回るだろう。資源、環境問題が死活問題となる。」(CISRI)、
  • 「自動車用鋼板の中国における生産量は100万トンに達するのに2002年までの12年かかったが、100万トンから200万トンへの増加は一年。燃費と安全性のために今後ますますハイテン生産が増える。」
    「Baosteelでのハイテンの80%はDual Phase鋼で、780MPa鋼までを生産している。」(Baosteel)、
  • 「CO2発生量、燃費に関する規制がEUや日本で活発だが、中国でも燃費規制を検討中で2008年には適用予定。」
    「中国ではMgとAlの素材価格がほぼ同じ。政策的にMgの自動車への積極利用を推進している。」(第一汽車)、
     
  • 「1390MPa級高強度ボルト(ADF1)を小型バスであるIVECOモデルA59.21に搭載、実車走行信頼性テストをパス。ADF1は昨年大量生産に入った。」
    「ADF1ボルトはQT後の冷間転造でねじ成形。圧縮残留応力を利用。金型寿命課題も克服。」(YUEJIN Motors)、
  • 「ADF1鋼で1490MPa級ボルトを試作、2回のengine rig testをパス、降伏点締め条件での大気暴露を2002年5月から実施し現在まで破断事例なし。」(CISRI)

  このように中国では@急速に生産が拡大している、A資源・安全問題への対応として高性能材料の開発・応用が盛ん、Bまた、深刻化する環境問題への対応で各種規制の法制化が進んでいるのが特徴です。

  第3回AMESは2年後中国で開催予定です。両国共通の死活問題である資源・環境と安全をより深く検討するためには、環境や安全の専門家との連携を強化すべきと思います。

(超鉄鋼研究センター 副センター長 津ア 兼彰)


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