第2回産学官連携推進会議参加報告


はじめに

平成15年6月7日(土)8日(日)の二日間、第2回産学官連携推進会議が京都国際会館で開催され、私は技術展開室と一緒に参加、展示を行い、また分科会を聴講しました。商品化研究チームは「使われてこそ材料」のモットーを実現するために、超鉄鋼第一期研究成果のマーケティング、技術移転、民間との共同研究、地域結集型研究による中小企業の活性化、に取り組んでまいりました。この会議に参加して、様々な機関が同じような命題に取り組み、悩み、また工夫をこらしていることを感じましたのでご報告致します。

会議の概要

梅雨入りの小雨模様のなか、産業界、大学、TLO、国研・独立行政法人、行政から4000人余の参加者があり、基調・特別講演、4つの分科会、133機関が参加した展示会が催されました。VIPの参加者も多く、黒塗りの高級車が行き交い、昔学会会場として行った私の知っている国際会館とは違う雰囲気でした。今は国全体が「学」に期待を持っている象徴ですが、独立行政法人が、これら産、官のVIPを如何に魅了しpatronageを得るか、NIMSのTLO機能の一員として考えさせられました。

トピックス1「地域クラスターと中小企業」

地域の研究機関と中小企業がクラスターを形成し活性化に取り組む姿が報告されました。会場から「敷居が高いと思っていた大学の先生と知り合い気軽に話を聞けるようになった」という声がある一方、「大学のシーズを教えてもらっても、言葉が分らない、だから内容も理解できない」という声もありました。これは勉強会として参加すれば面白いが、事業化を考えるとどうして良いか分らない、ということではないかと思いました。大学の基礎研究と事業化の間には、「死の谷」やら「ダーウィンの海峡」があるという表現を私は最近知ったのですが、日本で馴染みある言葉では「超すに超されぬ大井川」といったところでしょうか。私も中小企業から「あなた方の研究は面白い。いつ頃、幾らで材料売って頂けますか、すぐ試してみま す」と言われて戸惑った覚えがあります。基礎研究から工業レベルで材料供給できるまでには長い道程があります。インキュベーションをきちんと考えないと、勉強して原理は分ってもらっても、中小企業が期待する事業化と活性化にはつながらないということを肝に銘じました。

トピックス2「大学と知的財産戦略」

印象に残った提言を書きます。産業界から見た目では、@産業にとって「魅力」ある大学となって欲しい。(私たちはお客様である産業に対する「魅力」とは何かを考えねばなりません。「価値ある知」の創造を問われています。)A契約は定型にこだわらず、現場に即し裁量に任せたフレキシブルなものとして欲しい。(私も心してかかります。)TLOの現場から辛口の提言もありました。B産学官連携を担う人材の育成もおろそかにして今以上のメリットを訴求しうるであろうか。(私も小さな一員ですが、参加者全員に問いかけられたものと思いました。)

展示会の感想

超鉄鋼からは、超微細粒鋼の線材コイルと微小ネジ、高窒素ステンレス鋼の関節ジョイントと食器(ナイフ)を展示しました。玄人が注目したのは、線材コイルと高窒素鋼の腐食テストサンプル、一般の人はネジと関節でした。

雑感

久しぶりの京都、2年間大阪に暮らしたこともあり、ゆったり流れる女性言葉のアクセントも懐かしく感じました。夏になると鱧の季節だなー。ついつい食べ物の話になってしまいます。

(商品化研究チーム 中野 義知)


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