高強度耐食鋼超鉄鋼フォーラム報告


平成15年1月29日、第1回高強度耐食鋼超鉄鋼フォーラムを物質・材料研究機構 目黒材料試験事務所にて開催いたしました。
超鉄鋼フォーラムは、超鉄鋼二期プロジェクト(再生プロジェクト)の目標達成のため、研究成果を共有し、さらに発展させるためのオープンな情報交換の場と考えております。また同時に、再生プロジェクトの研究計画のブラッシュアップ、研究進捗と研究の進め方に対するピアチェックを行うことを目的に、非公開の産学官の有識者による会議を行います。

第1回は、ピアチェックに特化して非公開で高強度耐食鋼超鉄鋼フォーラムを開催いたしました。大阪大学南二三吉教授に主査をお願いし、その司会の下、(1)超鉄鋼プロジェクト推進体制、(2)再生プロジェクトの全体概要(1期から2期への展開)、(3)高強度耐食鋼TFの全体構想と体制についてNIMS担当3名から報告し、他学協会とも強くリンクしながら橋梁や建築等の社会インフラを対象に超鉄鋼を活かす新構造物を提案するための基礎研究を進めていくことを紹介しました。

その後、新構造ニーズに応える材料づくり、工場内での高精度溶接技術、現場でのボルト接合また損傷・破壊などの安全性評価技術など各要素研究(サブテーマ)における方針とトピックスについて、NIMSのサブテーマ担当者5名から報告し、9名の委員各位から多くのコメントを頂きました。その一部を以下に示します。

  • 超鉄鋼プロジェクトは先端研究であってほしい(エクセレンスを求める)。実用化を目指す第2期であっても先端技術としてのブレイクスルーが不可欠。
  • 実用化になると一気に色々な課題が出てくる。外部からの意見を反映させる体制づくりが重要。
  • 材料・技術の価値観などについて、この場を利用して議論できればよい。意見交換の場をもっと設けたほうが良い。
  • 実用化に向けての非破壊評価技術の開発も重要。課題内容については、50年使用を見込むときの耐食評価法が重要。

以上のように各委員からは、厳しくも有意義なコメントを多く頂きました。今後は技術的な議論などを含めた意見交換の場を拡げるとともに第2回以降の公開での超鉄鋼フォーラムを運用していきたいと思います。
実用化を念頭においた研究では、産学官の連携は不可欠であり、今回重要なご指摘を頂けたことに御礼申し上げます。

(溶接グループ 平岡 和雄)


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