耐熱鋼超鉄鋼フォーラム報告


本年1月21日午後、第1回耐熱鋼フォーラムが機構の目黒地区にて開催されました。平成13年度までの第1期の間は、研究進捗状況の評価や研究計画のブラッシュアップを議論して頂くために、NIMS主催の研究作業分科会を概ね年2回開催してきました。分科会委員は、超鉄鋼参加企業の耐熱鋼専門家、大学の専門家、NIMSの耐熱鋼研究分担者で構成されていました。

火力発電ボイラ

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今年度からスタートした第2期では、新しい試みとして、主催を第3者機関にお願いし、できるだけ客観性を持たせかつ材料の専門家だけでなく多方面のご意見が頂けるような「耐熱鋼フォーラム」として開催することになりました。今回は、昨年度から耐熱鋼テーマに関連した調査を行っている「エネルギー動向と耐熱鋼高温化ニーズに関する調査研究会」が主催しました。以下に、耐熱鋼フォーラムの概要を紹介しますが、非公開で行ったピアレビューに先だって、公開の部を設けたり、電力会社の委員が入っているのも新しい点です。

公開で行われた第1部では、委員に加え、外部からの聴講者は5名(民間企業4名、大学1名)、NIMSから15名で、計約30名が参加しました。一般講演で、野邊講師は、耐熱鋼テーマで対象とする石炭火力発 電に限らず、原子力や天然ガス発電、新エネルギーなどについて現状や将来動向など幅広い話をされました。五十嵐講師は、平成14年秋にヨーロッパで立て続けに開催された重要な国際会議でのトピックスや、欧米における研究開発動向をクリープ強化機構の紹介も含めて熱弁されました。プロジェクトの進捗報告では、NIMSの耐熱鋼担当者3名が、平成14年度の進捗報告と今後の計画を紹介しました。

非公開で行われた第2部のピアレビューでは、主査の司会の下、委員とNIMS担当者がテーブルを囲み、主として研究の進め方について約1時間にわたって討議されました。各委員から厳しい指摘がなされましたが、以下に印象的なコメントを列挙します。

  • オリジナルプラントを作るための指導原理を与え続けることが、このプロジェクトの根幹。(鉄鋼メーカー)
  •  もう少し候補材料を絞り込むべき。(鉄鋼メーカー)
  •  物材機構だけでは解決できない問題が多く出てきた段階に入ったので、産学を巻き込んだ別の大きな国家プロジェクトを立ち上げるべき。 (重工メーカー)
  • インドや中国に、日本の技術を供給することも考えるべき。メカニズム解明にも力を入れるべき。(大学) ・ 発電プラントに使える技術開発を期待している。 (電力会社)
各委員の有意義な意見を踏まえ次年度の研究につなげて行きますが、今後は、お互いに意見を述べ合うだけでなく、第2期の目標である超鉄鋼を用いた新構造提案に向けた実質的な産学独連携の取り組みが必要と思われます。引き続き皆様のご協力をお願い申し上げます。
 
第1回耐熱鋼フォーラム  平成15年1月21日
主催:エネルギー動向と耐熱鋼高温化ニーズに関する調査研究会
主査 新田明人(電中研) 委員 鉄鋼メーカー 2名、重工メーカー 3名、
テクノ会社 1名、大学 3名、電力会社 1名
事務局:未踏科学技術協会
第1部(公開)
(1) 一般講演
「我が国および世界のエネルギー動向」 野邊 潤(三菱総研)
「最近の耐熱鋼国際会議でのトピックスと欧米における耐熱鋼の研究開発動向」 五十嵐正晃(住金)
(2) プロジェクトの進捗報告
第2部(非公開)
ピアレビュー

(耐熱グループ 阿部 冨士雄)


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