「超鉄鋼で築く21世紀」シンポジウム報告


日時:平成15年5月28日(水)13:00〜17:00、
場所:東京工業大学百年記念館 3階フェライト会議室(大岡山キャンパス)、
主催:(社)日本鋼構造協会 共催:物質・材料研究機構

超鉄鋼プロジェクトは第2期に入り、強度と寿命を兼ね備えたファクター4の超鉄鋼の創製、それを生かす新構造の提案と構造化技術の研究を進めています。そこで、昨年の秋から超鉄鋼を活用した土木・建築における新構造にかかわる課題の抽出を(社)日本鋼構造協会に調査をお願いしました。今回、日本鋼構造協会が主催し、利用技術研究に関する成果の発表とともに自動車産業における自動車用材料の動向の紹介を含め、超鉄鋼の利用技術に関し異分野間の情報交換と討論を行うことを目的に、シンポジウムを開催いたしました。

「超鉄鋼がつくる社会」と題し、長井超鉄鋼研究センター長が超鉄鋼プロジェクトにおける取り組み、都市再生、エネルギー分野における将来的な展開、実用化の現状について紹介しました。岐阜大学奈良教授から「土木構造への超鉄鋼利用技術の検討」、東京工業大学和田教授から「建築構造への超鉄鋼利用技術の検討」として、日本鋼構造協会技術・標準化委員会超鉄鋼利用技術検討小委員会で検討してきました成果の発表がありました。橋梁、建築構造において、超鉄鋼という新しい材料を使っての斬新な設計的考え方で耐震性に優れた安全で安心な構造物、リサイクル、リユースのできる環境にやさしい構造物、社会的トータルコストを下げられる構造物、など夢の広がるお話でした。

また、トヨタ自動車葛熨ョ材料室の鈴木室長より「環境問題からの自動車用材料の動向と鉄鋼への期待」として特別講演をいただきました。環境問題からの燃費向上、軽量化、さらに衝突安全性などからの高強度鋼化とその背反性としての割れ、形状凍結性、特性のばらつきの問題など自動車産業での取り組みと将来的な超鉄鋼材料への期待を述べられました。

その後、鞄ヌ売新聞社編集委員の浅羽氏の司会でパネルディスカッションがありました。新しい材料で夢のある構造物をつくっていくという熱い期待をこめられた司会で、講師の先生方から興味深いお話を引き出されていました。

自動車を含む材料ユーザーと材料側が真剣に将来展望を語り合い、若い人たちへの夢を持たせ、しかもそれを近い将来実現していくという、意気込みにあふれたすばらしいシンポジウムでした。講師の方々、司会の浅羽さん、日本鋼構造協会の皆さんに厚く御礼申し上げます。

(材料研究所 信頼性評価グループ 萩原 行人)

プログラム(PDF:17KB)


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