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【開催予告】2026.12.16 -第207回構材ゼミ- 伊藤あゆみ 特任准教授 (東京科学大学 統合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所)

日時

2026年12月16日(水曜日)14:00-15:00

場所

NIMS千現地区 先進構造材料研究棟5階カンファレンスルーム

講演題目

燃料デブリ形成過程の逆推定と熱力学データベースの高度化
—AI エージェントによる解析・検証の連携と今後の展望—

講演者

伊藤あゆみ 特任准教授
東京科学大学 統合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所

開催者

概要:
 福島第一原子力発電所の廃炉を進めるうえで、燃料デブリの形成過程を解明することは、事故進展の理解を深めるとともに、炉内に残存するデブリの性状や形成条件を推定するために重要である。燃料デブリには、事故時の酸化、溶融、成分混合および凝固過程に関する情報が、相組成や元素分配、微細組織として残されている。これらの分析結果を制約条件として形成過程の候補を絞り込むため、熱力学計算に基づく凝固経路解析と観測量との比較を用いた逆推定手法の開発を進めている。模擬デブリ試験による検証を経て、現在は実デブリ分析結果への適用、および観測結果から可能な生成源となる組成候補空間を探索する手法へと展開している。
 一方、逆推定の信頼性は、その基盤となる熱力学データベースの精度に強く依存する。燃料デブリの主要構成元素であるU-Zr-Fe-Cr-Ni-O 系では、多元系特有の複雑な相平衡や元素間相互作用に加え、実験データの不足により熱力学的記述の不確かさが大きく、十分な妥当性検証が行われていない組成・温度条件も存在する。このため、逆推定の信頼性を向上させるには、推定結果に影響する熱力学データベースの不確かさを把握し、実験・文献データに基づいて検証・改善していくことが重要である。
 本講演では、燃料デブリ逆推定手法の現状と課題を紹介するとともに、文献情報の収集・整理、熱力学計算、データベース間比較、実験データとの照合をAI エージェントによって連携させる試みについて議論する。デブリ観察から逆推定を行い、その過程で顕在化した熱力学データベースの課題を検証・改善し、再び逆推定へ反映するという循環型の材料解析基盤を構築することで、事故進展推定の信頼性向上につなげることを目指している。