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第81回先端計測オープンセミナー
「スパースモデリングによる準粒子干渉計測の高速化・高精度化」

2016年7月29日 (金) 15:30 ~ 16:30

会場:

千現地区 研究本館1階 第1会議室

講演者:

吉田靖雄
東京大学物性研究所 ナノスケール物性研究部門 助教

表題:

スパースモデリングによる準粒子干渉計測の高速化・高精度化

講演要旨:

表面に束縛された自由電子は、不純物や欠陥に散乱されて干渉し、電子定在波もしくは準粒子干渉(QPI)パターンと呼ばれる変調構造を引き起こす。これらは、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた走査トンネル分光(STS)によって実空間観察が可能であり、そのフーリエ変換像の電圧依存性を調べることで、電子のエネルギー分散を調べることができる。近年、この手法は非従来型超伝導体やトポロジカル絶縁体の研究にも適応され、物性研究における一手法として、重要な位置を占めつつある。しかし一方で、数日から一週間と極めて長いというその測定時間が、この手法の普及を妨げている。そこで、我々はQPIパターンの波数空間におけるスパース性(信号のほとんどがゼロ値を持つこと)に着目し、Ag(111)で観察されたQPIパターンに対し、ランダムにデータ点を減らし、圧縮センシングの一手法であるLASSO (Least Absolute Shrinkage and Selection Operator) によるデータの復元を行った。その結果、ランダムサンプリングとLASSOを組み合わせることで、得られる情報を失わずに、測定点を10%程度まで落とせることが明らかになり、QPI計測の高速化が可能であることが示された。現在、この結果を踏まえ、実際にランダムサンプリングによるSTSを行い、高速QPI計測の実用性の検証を行っている。講演ではこれらの詳細についてご紹介したい。

詳細:

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