イベント

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第78回先端計測オープンセミナー
「スピン偏極低エネルギー電子顕微鏡 (SPLEEM)」

2016年5月27日 (金) 15:30~16:30

会場:

千現地区 研究本館8階 中セミナー室

講演者:

鈴木雅彦
表面物性計測グループ、NIMS特別研究員

表題:

スピン偏極低エネルギー電子顕微鏡 (SPLEEM)

講演要旨:

スピン偏極低エネルギー電子顕微鏡 (SPLEEM)は、低エネルギー電子顕微鏡 (LEEM)の入射電子線をスピン偏極電子線にすることで磁性体表面の磁区観察を行う手法である。SPLEEMの特長は10nmオーダーの高い面内分解能があること、表面付近の磁化ベクトルの方向を三次元的に解析できること、投影型の顕微鏡なので画像取得時間が比較的に短いことなどが挙げられる。しかし、一般的なSPLEEMでは、電子銃のスピン偏極度および輝度が低く、十分な磁区コントラストを得る為には1枚当たり5から30秒程掛かっており、LEEMがもつ実時間観察のメリットが生かされていなかった。そこで、大阪電気通信大学の越川グループ、名古屋大学の中西、竹田グループが共同で新しい高輝度・高スピン偏極度の電子銃の開発が行われた。この電子銃では、新たに開発されたGaAs/GaAsP歪超格子薄膜を電子源として用い、励起レーザー光を電子源の背面から照射する構造としたことで、90%の高偏極度 (従来型は20から25%)と1.3x107 Acm-2sr-1の高輝度 (従来型の10000倍)が実現している。その結果、1枚当たり0.02秒で磁区観察が可能となり、実時間での磁区観察が実現している。この新しいSPLEEMを用いて、スピントロニクスデバイスの材料として期待されているCo/Ni多層膜の積層過程における磁区挙動を詳細に調べた。その結果についても紹介する。

詳細:

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