最新成果展示会2021

NIMS研究者による最新成果講演

11/18[木] 10:05~13:50 日本語プログラム(英訳なし) 事前登録制

実験自動ロボットを用いた材料探索や省エネ・再利用化を促進する技術など、様々なNIMSの革新的新材料・技術の最前線を12名の研究者がご紹介します。

視聴方法について

講演内容

松田 翔一の顔写真
NIMS最新成果講演 1 10:05~(15分)

電気化学自動実験によるハイスループット材料探索

エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ

カーボンニュートラルの実現に向けて、エネルギー貯蔵・変換材料に対する社会的ニーズは高い。特に、再生可能エネルギーの大幅導入に向けては、蓄電池や水素関連技術の整備が欠かせない。我々は独自に開発した電気化学自動実験技術を基盤としたハイスループット探索手法を活用し、新規材料の開発を進めている。特に、データ科学的手法と高度に連携することにより、材料発見の高速化が可能となる。本講演では、次世代蓄電池材料開発における成果を中心に、実験自動ロボットを用いた材料探索の実施例を紹介する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): データ駆動型材料開発[G2]
大橋 直樹の顔写真
NIMS最新成果講演 2 10:20~(15分)

セラミックスを粉々に!~熱化学破砕法~

機能性材料研究拠点 電子セラミックスグループ

硬くて、化学的に強いことがセラミックスの長所である。しかしそれが、再原料化や再資源化を難しくしている。そこで、セラミックスを粉々にする技術を実現した。一般にセラミックスは粉体を高温で処理して焼き固めるが、その全く逆で、高温で処理することで、セラミックスを粉々にしてしまう技術を開発した。「焼結」の反対で、「焼解」とも言える現象である。ということで、ここでは「焼解」技術を紹介する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 機能性材料[B1]
内藤 昌信の顔写真
NIMS最新成果講演 3 10:35~(15分)

循環型熱硬化性樹脂によるサーキュラーエコノミー戦略

統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動高分子設計グループ

接着剤や塗料、複合材料をはじめ、身近な構造部材として使われている熱硬化性樹脂の一つであるエポキシ樹脂を、天然由来のペプチド水溶液に浸すだけで分解できるように改良し、再生樹脂を得やすくする、新しい熱硬化性プラスチックの資源循環システムを開発した。本システムにより、炭素繊維をエポキシ樹脂で固めた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の再利用をはじめ、リサイクル問題が顕在化している幅広い産業分野において再生プラスチック利用の促進が期待される。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 機能性材料[B3]
佐光 貞樹の顔写真
NIMS最新成果講演 4 10:55~(15分)

市販樹脂のナノ多孔化技術と多孔体創製

統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動高分子設計グループ

ナノ多孔質プラスチック材料は電池のセパレーター・分離膜・医療材料といった先端素材で活用されている。NIMSでは相分離・結晶化現象の学理を探究し、新たな知見に基づく高分子のナノ多孔化技術とナノ多孔体の開発を進めている。本発表では、耐熱性・力学強度に優れた市販のエンジニアリングプラスチックを素材として作製したナノ多孔性微粒子などを紹介する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 機能性材料[B4]
ウー ラダーの顔写真
NIMS最新成果講演 5 11:10~(15分)

革新的次世代断熱素材・遮熱技術

構造材料研究拠点 超耐熱材料グループ

近年、建造物や自動車などの省エネルギー化において、熱管理技術に大きな関心が寄せられている。再生可能エネルギーの導入拡大、水素社会実現の推進に向け、液化水素燃料の輸送または貯蔵の際には-253℃の極低温環境を維持する優れた断熱材による保冷が欠かせない。 水素社会実現のためには水素燃料火力発電に必要な遮熱コーティングの開発も必要である。本研究では、高いパフォーマンスを発揮する次世代断熱材料及び超高温遮熱コーティングの合成、生産、評価に係る開発を行っている。研究成果を社会に普及させるためには優れた性能と経済性の両方を兼ね備える実用化のための技術開発も重要となる。研究成果を広く社会に普及させることを目的としてNIMS認定ベンチャー(株式会社Thermalytica)を設立した。ベンチャーでは、独自の技術で製造された世界最高水準の断熱・遮熱性能をもつエアロゲル素材の製造販売とEB-PVD遮熱コーティング加工サービスを提供する。NIMSとして最先端の断熱材・遮熱コーティング技術の研究開発に取り組むことと、ベンチャーとして研究成果を自ら社会に普及することを両輪として、持続可能な社会の構築に貢献していく。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 機能性材料[B7]
森 孝雄の顔写真
NIMS最新成果講演 6 11:25~(15分)

半世紀以上熱電変換の最高性能を誇るBi 2Te 3系に匹敵する新規材料を開発

国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 熱エネルギー変換材料グループ

Mg 3Sb 2系材料にわずかな銅原子を添加することで、2つの熱高性能化効果が発現できることを発見した。それにより、大幅な熱伝導率低減と電荷移動度向上を両立させることに成功した。当該材料を使用した熱電モジュールは、室温と320℃の温度差において、半世紀以上に亘り最高性能の記録を保持し続けているBi 2Te 3系材料に匹敵する熱電変換効率7.3%を実現した。この技術は、材料性能から見積もられる理論効率は約11%とさらなる高効率化も見込まれ、希少元素であるTeをほぼ含まないことから、IoTセンサーの自立電源やモバイル発電機など幅広い分野での応用が期待される。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 機能性材料[J2]
川喜多 仁の顔写真
NIMS最新成果講演 7 11:40~(15分)

蒸汗センサ

機能性材料研究拠点 電気化学センサグループ

夏場の熱中症や冬場の脱水症の罹患と救急搬送が増加しており、熱中症や脱水症を初期・早期に検知する方法が求められている。その一つとして、汗の計測が検討されているが、従来技術には応答時間、精度、繰り返し利用といった課題がある。そこで、NIMSオリジナルの微小水分に対する高速応答性能を活用するとともに、IoT計測システムを用いたリモートモニタリングに対応した蒸汗センサを開発し、センサ応答と体水分変化率との相関付けを行うことで、熱中症リスクの判定技術への展開を進めている。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): センサ[C1]
岡本 章玄の顔写真
NIMS最新成果講演 8 12:35~(15分)

マイルドな電極電位でバイオフィルムを不活化する技術

国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 電気化学ナノバイオテクノロジーグループ

バイオフィルムとは材料表面につくヌルッとした細菌の集合体のことで、薬剤を使って洗浄しても取りきれない。細菌感染が広がる原因となることも多く、パンデミックや医療費の問題からも今後ますます新しい殺菌技術の重要性は高まると考えられる。そこで本研究では、細菌の活動を維持するために不可欠な代謝を微弱な電気刺激によって阻害するという新しい殺菌アプローチの原理検証を行なった。抗生物質並みの効果が得られており、今後技術としてどう実装していくか、実際のサンプルへの効果などをさらに検証していく必要がある。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): バイオ・医療[A1]
山口 尚秀の顔写真
NIMS最新成果講演 9 12:50~(15分)

ダイヤモンド高移動度トランジスタ

国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 表面量子相物質グループ

ワイドギャップ半導体としてSiCやGaNを凌駕する特性をもつダイヤモンド。その優れた特性を活かした電力変換や高周波増幅への応用が期待される。私たちは六方晶窒化ホウ素(h-BN)という材料と組み合わせてダイヤモンド電界効果トランジスタを作ることで、省電力・高速動作にとって重要な指標である移動度を大きく向上させた。移動度が十分に高いトランジスタでしか見られない量子振動という現象の観測にも成功した。さらに、理論解析によって移動度の制限要因をつきとめ、より優れた性能をしめすダイヤモンドトランジスタの開発に取り組んでいる。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 電子デバイス材料・磁性材料[D2]
廣本 祥子の顔写真
NIMS最新成果講演 10 13:05~(15分)

被覆によるMg合金の耐食性制御 -生体材料から構造材料-

構造材料研究拠点 耐食材料グループ

軽量構造材料や生体内溶解性金属材料として注目されているMg合金の課題である低耐食性の改善や急激な初期腐食の抑制のための耐食性被膜を開発している。近年開発が盛んに行われている高強度―高延性のMg合金には、必ずしもAlのような耐食性に寄与する元素が含まれているわけではない。合金組成に依存せず作製でき、高耐食性を発揮する被膜として、電気泳動法による層状複水酸化物被膜の開発を行っている。また、生体用Mg合金の初期腐食抑制のために、生体内で安定な水酸アパタイト被膜と破骨細胞に吸収され骨と置換する炭酸アパタイト被膜の開発も行っている。骨置換する被膜は世界初である。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 構造材料[H1]
宮崎 剛の顔写真
NIMS最新成果講演 11 13:20~(15分)

大規模第一原理計算プログラムCONQUESTの開発と公開

国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 量子物性シミュレーション

第一原理計算は、実験結果に依存せずに原子・電子の振る舞いを量子力学にもとづいて計算する信頼性の高い手法であるが、計算量が膨大であり、計算できる系のサイズに限界があった。この問題を克服するために我々は、100万原子を含む大規模系に対しても第一原理計算を可能とするプログラムCONQUESTを開発した。プログラムは最近オープンソースライセンスで公開され、一般の研究者が無償で使えるようになった。本発表では、CONQUESTによってどのような研究が可能となったのかを紹介する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 計算科学[F2]
野村 晃敬の顔写真
NIMS最新成果講演 12 13:35~(15分)

リチウム空気電池の高出力化

エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ

最も高いエネルギー密度をもつリチウム空気電池。現在主流のリチウムイオン電池よりも圧倒的に小型軽量で高容量な蓄電池開発が期待されている。我々はリチウム空気電池向け電池材料の開発とセル(スタック)設計を同時に進めてきた。空気(酸素)を取り込む多孔性正極の空孔構造を調節することで、従来課題となっていたリチウム空気電池の低い出力性能を改善し、高い電流密度でリチウムイオン電池を凌駕する放電容量が得られるようになった。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]): 電池材料[I2]

ポスターセッション
最新成果ポスター50

11/18[木] 10:00~ 日本語プログラム(英訳なし)

AIから次世代電池、最新医療材料に至るまで、実用化を見据え厳選した新材料・技術50件が集結。コアタイムには研究者がZoomで直接質問にお答えします。