最新成果展示会2020

NIMS研究者による最新成果講演

11/27(金) 13:00~15:0016:00~17:00

日本語プログラム(英訳なし)

熱電発電からエアロゲルを使った革新的な断熱材、コロナ即時検出を叶える高感度センサまで。共同研究・技術移転を希望する多彩な成果をご紹介します。

講演発表一覧

13:00~13:15(15分)

「IoTセンサ用独立電源等へ向けた革新的な熱電変換技術の開発」

森 孝雄 モリ タカオ
NIMS MANA 熱エネルギー変換材料グループ

我々のグループでは、熱電高性能化の新原理発掘などにより、熱電発電の200年来の実用化の夢へ挑戦を進めており、一兆個と言われるIoTセンサー・デバイスの自立電源を供給する新規産業の創出を目指している。具体的には、電子物性および熱物性における熱電的性質の従来のトレードオフを凌駕するような、ナノ構造制御や、磁性の活用による熱電効果の増強を見出し、高性能磁性半導体熱電材料という新領域を開拓してきた。共同研究により関連材料を薄膜化することで、従来のチャンピオン材料ビスマステルライドの10倍の出力因子という前人未到の超高性能も見出された。また、産業・大量生産に合致したプロセスによる発電モジュールの開発も進めている。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
熱電材料[K6]
13:15~13:30(15分)

「磁性体を用いたフレキシブル・低熱抵抗 熱流センサーの開発」

桜庭 裕弥 サクラバ ユウヤ
NIMS 磁性・スピントロニクス材料研究拠点 磁性材料グループ

熱流センサーは、熱の流れる"方向"と"大きさ"を高速に検知できることから、温度計よりも高速な熱検知と高効率な熱制御を可能にするデバイスとして期待される。現行のゼーベック効果型熱流センサーは、感度こそ高いものの、センサー単価が高く、フレキシビリティーが低い、センサー自体の熱抵抗が大きいという重大な課題が解決されず、社会に幅広く利用される汎用的なセンサーにはなっていない。一方、磁性体において発現する異常ネルンスト効果を利用すると、これらの課題が一気に解決できる可能性がある。本発表では、異常ネルンスト熱流センサー実現のための材料開発並びにNIMSにおいて試作した熱流センサーの性能について紹介する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
センサ[C4]
13:30~13:45(15分)

「革新的次世代断熱素材・遮熱技術」

Rudder WU ウー ラダー
NIMS 構造材料研究拠点 超耐熱材料グループ

近年、建造物の省エネルギー化において、温度管理技術に大きな関心が寄せられているところである。再生可能エネルギーの大量導入のためには、発電コストの大幅な低減、低コストかつ大規模な電力貯蔵技術等が必要になる。スマートグリッドの実現には、エネルギー貯蔵システムを介在していかにエネルギーを効率的に収集・分配・ 利用する技術を実現するかが重要である。本研究では、高いパフォーマンスを発揮する断熱エアロゲルコーティング材料の製作、評価に係る開発を行っている。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
耐熱・断熱材料[I1]
13:45~14:00(15分)

「撥水性・断熱性を有する柔軟シリコーン複合多孔体」

早瀬 元 ハヤセ ゲン
NIMS 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 独立研究者

有機ケイ素アルコキシドを出発原料としたゾル―ゲル反応により柔軟なモノリス型多孔体が得られる。ナノファイバー等と複合化することで、軽量ながらもハンドリング性や機械加工性が向上した材料となる。これらは撥液性や断熱性といった特徴的な物性を示すため、単純な合成プロセスとあわせてさまざまな応用が期待できる。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
耐熱・断熱材料[I3]
14:00~14:15(15分)

「炭素リサイクルのためのメタン・二酸化炭素転換触媒」

阿部 英樹 アベ ヒデキ
NIMS エネルギー・環境材料研究拠点 独立研究者

温室効果ガス大気中濃度の上昇とシェールガスなど非在来型天然ガス資源の資源拡大を前に、メタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)から水素(H2)や一酸化炭素(CO)などの高付加価値製品原料を製造する低環境負荷・高効率・長寿命の開発と社会実装が急務。本研究では、持続可能な社会に向けた低CO2排出型の新しい触媒材料について紹介する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
機能性材料[B7]
14:15~14:30(15分)

「環境制御型時間分解 水素透過測定装置」

板倉 明子 イタクラ アキコ
NIMS 先端材料解析研究拠点 表界面物理計測グループ

我々は非破壊・非汚染で水素の存在位置を特定できるオペランド水素顕微鏡を開発した。薄板形状の試料背面から水素を供給しながら表面水素分布の時間依存性を計測することで、試料の局所的な水素拡散係数や水素透過量を算出した。また局所構造と対応させることで、水素拡散に対して特異的な構造を抽出することができた。試料温度や、背面の供給ガス種を変えること、金属表面の被膜の計測を行うことも可能である。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
先端計測[E3]
14:30~14:45(15分)

「軽量かつスマートな構造材料のための低温大気圧接合技術」

重藤 暁津 シゲトウ アキツ
NIMS 構造材料研究拠点 表面・接着科学グループ

有機無機ハイブリッド軽量構造材料に電子基板群を内包させ、電子システムの高信頼性と、移動体IoTにおける信号伝送の高度化を達成することができるスマート構造材料の提案と、それを実現するための低温大気圧・高信頼性異種材料接合技術を解説する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
材料プロセッシング[H2]
14:45~15:00(15分)

「バイオベース高機能抗菌材料」

内藤 昌信 ナイトウ マサノブ
NIMS 統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動高分子設計グループ

COVID-19のパンデミックにより、世界中で抗菌に対する意識が高まっている。抗菌コーティング剤など材料に求められる要求性能も大きく変化している。一方、無機ナノ粒子(銀など)や有機系抗生物質は安全面から使用禁止の動向にあることから、その代替材料の開発が急務となっている。そのような社会要請の中、我々は安価で高性能な生物資源として、芳香族バイオマスに注目した。中でも、抗菌・抗酸化性などポリフェノールの優れた機能を損なわず変性・加工するコア技術を確立することで、様々な樹脂・塗料・界面活性剤・接着剤等に応用展開した成果について発表する。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
機能性材料[B5]
16:00~16:15(15分)

「高感度なバイオ分子検出メタ表面センサー」

岩長 祐伸 イワナガ マサノブ
NIMS 機能性材料研究拠点 プラズモニクスグループ

蛍光増強効果に特に優れるメタ表面をバイオセンサーに応用し、バイオ分子の検出を進めている。巨大タンパク質分子(抗原・抗体など)から核酸分子(DNA, RNA)まで広範な対象を定量的、高精度かつ高スループットな検出が可能であることを見出した。夾雑分子耐性が良く、再現性にも優れるため、実用に資する新規バイオセンサーである。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
センサ[C1]
16:15~16:30(15分)

「緻密透明セラミックスの合成と光学応用」

金 炳男 キム ビョンナム
NIMS 機能性材料研究拠点 外場制御焼結グループ

通電加圧焼結法の駆使により、組織を微細に維持したまま緻密に焼結する技術を開発し、従来透明化が困難であった異方性セラミックス(アルミナ、アパタイトなど)の透明化および力学特性の向上を行った。一例で、非立方晶系レーザーセラミックスの開発が挙げられる。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
機能性材料[B6]
16:30~16:45(15分)

「自動計算で広大なデータ空間を作り未知の材料発見に挑む」

木野 日織 キノ ヒオリ
NIMS 統合型材料開発・情報基盤部門 デバイス材料設計グループ

規則結晶構造の膨大な第一原理計算データベースは存在するが、物性特性まで評価された領域は非常に少なく、またその領域も狭い範囲にとどまっている。また合金のデータベースはほぼ存在しない。我々は合金系に適用するための自動第一原理計算探索システムの構築を行い、四元等比ハイエントロピー合金のBCC構造、FCCの構造それぞれ約7万件の磁化、磁気転移温度(TC)、残留電気抵抗率(R)の網羅計算を行った。理論的な自動物性量評価を可能とすることで、幅広い物質空間上の回帰・探索が可能となる。この成果がハイスループット合成・評価につながり、新材料の効率的な発見に寄与することが期待される。

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
データ駆動型材料開発[F7]
16:45~17:00(15分)英語講演(日本語訳なし)

「アクティブラーニングを用いた高速新材料探索」

Guillaume LAMBARD ラムバール ギヨム
NIMS 統合型材料開発・情報基盤部門 エネルギー材料設計グループ

For accelerating the design of functional materials (small molecules, polymers, alloys, etc.) and the optimization of their processing conditions, as well as triggering the discovery of unexpected materials and therefore growing the knowledge in materials science, curated small datasets joined to the active learning principles are all you need.

ポスター発表情報(カテゴリ[番号]):
データ駆動型材料開発[F10]