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研究内容> 鋳造

凝固組織制御技術の構築
* 急冷凝固 (ストリップ連鋳,薄スラブ連鋳)
* 偏析の制御と利用

 

0.1C-0.15S-0.6Mn
0.01%P
0.10%P
図1 ツインロール式ストリップキャスター
図2 
ツインロール式のストリップキャスター(図1)を用い、0.1%炭素鋼(SS330相当)にリンを0.1%添加した3mm厚600幅の高リン含有鋼を試作した(図3)。
高炉/連続鋳造法では凝固時に冷却速度は約0.1K/sであるが、本製造法の場合1〜100K/s(板厚方向に冷速分布を持つ)と急速に冷却されていることに特徴をもつ。

また、リンを含有することによって伸びを維持したまま強度が向上できることがわかった(組織制御溶解装置 参照) )。

図3 0.1%リンを含有した低炭素鋼コイルのNear-Net Shape Casting 実験(ストリップ鋳片 3mmt x 600mmwW) 図4 ストリップ鋳片のリン添加による強度向上
凝固冷却速度を変化させた場合の凝固組織変化
また、0.01から0.20%リン含有鋼 (0.1%C-0.15%Si-0.6%Mn)の連続鋳造100mm厚スラブ材を試作した結果、リンを0.1%以上含有するスラブのオーステナイト組織は、粒径0.8mmであり、低リン (0.01%)材のオーステナイト(粒径1.6mm)に比べ、1/2に細粒化することがわかった(図1)。

この微細化効果に関して、連続冷却下で相変態を経た組織形成挙動を解明し、高リン含有鋼の凝固時にはフェライト安定化元素リンが偏析し、A点(変態点)が低下することにより、粒成長が抑制されることを明らかにした。

Austenite Grain Structure

板表面からの距離(mm)

図1 0.01%(上)及び0.1%(下)リン含有した連続鋳造100mm厚スラブ縦断面の旧オーステナイト粒柱状組織(鋳造まま)におよぼすリンの影響
図2 ミクロ偏析をともなったFe (0.1C-0.15Si)-P-Mn擬3元系状態図
図2はFe-P-Mn擬3元系状態図であり、A等温線および100mm厚スラブ1/4厚部のミクロ偏析分布(EPMA)を示したものである。

リンを含有することにより、A点が低温側に拡大し、相を残留させていることがわかる。特に0.2%リンでは、リン濃化部(破線円)で相が残留している。