第293回特別CMSMセミナー

電解/無電解析出プロセスの基礎・応用 - 磁性薄膜材料開発に向けて

國本 雅宏
早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 応用科学科 准教授

Date & Time: 15:00 - 16:00, January 19th (Mon), 2026.
Place: 千現地区8階中セミナー室

Abstract:

電解/無電解析出プロセスは,それぞれ“電気めっき”,“無電解めっき”として工業的に古くから利用されてきた要素技術である.これらは,電子の供給源をそれぞれ異にするものの,いずれも固相基板と溶液の境界領域である固液界面で生じる前駆体金属イオンの還元反応に依拠した固相析出技術であると言える.析出層の特性は,金属イオンの安定性や反応性を左右する溶液の組成や温度,基板の種類,電極電位など様々なパラメータに依存し,その高い制御性が特徴である.ただし,界面という狭小な領域で生じる現象であることから,その直接観察や解析がしばしば困難であると同時に,制御因子の多様さは逆に現象論を複雑化させる要因にもなる.我々の研究室では従来から,この電解/無電解析出プロセスを利用して,磁性体,半導体の薄膜材料を開発する研究に従事してきたが,そのような材料形成のみならず,その制御性を高めるための基礎解析,そしてその基礎解析を進めるための手法開発をも推進してきた.本講演ではそのような経験に基づき,電解/無電解析出プロセスの基礎的理論に,筆者の研究成果を多少織り交ぜながら解説することで,マルチフィジックス現象としての当該プロセスの全体像と,可能性,課題について示しながら,特に磁性薄膜材料形成に向けた展望を議論したい.

(Contact)

TAKAHASHI Yukiko, Magnetic Recording Materials Group, CMSM.
E-mail: TAKAHASHI.Yukiko[at]nims.go.jp