研究概要

内容

高温における金属、セラミックス表面・界面の化学反応に基づいた組織・特性変化に関連した研究を行うグループです。特に高温で用いられる構造材料の酸化、高温腐食に着目し、過酷な雰囲気でも使用可能な材料や、それらの表面改質法の開発を進めます。Ti基合金やNi基合金への耐酸化コーティング、熱遮蔽コーティングの開発が主要なテーマです。


研究テーマ

1.Pt-Ir系耐酸化コーティング材料の開発

ジェットエンジンやガスタービンなど内燃機関の高効率化は、低炭素社会の実現に直結する課題です。効率を高めるには運転温度を高くするのが最も効果的です。実際、現在のガスタービン入り口の燃焼ガス温度は年々上昇しており1700℃を目標としたプロジェクトも立ち上がっています。このような過酷な条件で用いられる動翼(ニッケル(Ni)基超合金)の寿命を保つために私たちの研究グループは、白金族金属である白金(Pt)とイリジウム(Ir)の合金を電気めっき法によって被覆する、新しいコーティング手法を開発しました。図は(a)Pt, (b)PtIr合金をそれぞれめっき法でニッケル基単結晶超合金に被覆後、1100℃1時間で真空熱処理した試料について、大気中で1125℃1時間加熱後60分空冷するという行程を100サイクル行った後の試料断面です。Pt被覆材では基材中にボイド(穴)が多数生成しているのに対し、PtIr合金被覆材ではボイドが抑制されていることが明らかです。これはイリジウムの添加によって相互拡散が抑えられたためであり、基材の寿命を延ばすことに効果があります。

2. 新規耐熱コーティング手法の開発

耐酸化コーティングだけではなく、セラミックによる遮熱研究にも着手する予定です。

3. 耐過酷環境用セラミックス基複合材料の開発

耐熱性が1500℃と高く軽量なSiC基複合材料(SiC/SiC)は、セラミックス独特の「脆さ」を高強度・高弾性なSiC繊維を複合化することで見かけの破壊抵抗を向上させたものであり、潜在的に優れた高温強度、耐摩耗性、熱伝導特性及び耐環境特性(耐酸化性、耐食性等)から航空・宇宙分野での応用や先進ガスタービン等への応用が強く期待されている。特に金属材料では達成し得なかった無冷却下1000℃以上での使用が可能なことから、理論的には高い熱変換効率を有する発電システムの構築が可能である。しかし、評価はもとより作製プロセスに関しても、その応用に耐える技術は未だ確立していない。1000℃以上の高温で大気や水蒸気等の過酷環境に長時間耐えうるSiC/SiC複合材料の開発を行っています。