Research

1. 刺激応答材料(Stimulus-responsive materials)

光分解・異性化する分子を利用して,界面・バルクの性質を光で制御できる材料を開発しています。例えば,光分解性分子が表面修飾されたケージド基板では,光照射に応じて細胞の接着性が変化します。この基板の上で細胞パターニングや細胞移動を光で操作することで,がんの浸潤・転移モデルとして創薬応用や,細胞の集団移動挙動の解析を進めています。

2. 散逸材料(Dissipative materials)

細胞が周囲の硬さ(軟らかさ)を感じてその機能を変化させることが知られています。ただ,多くの場合,弾性的性質の影響のみが議論されて,実際の生体組織が持っている粘性的な性質(力を散逸させる特性)は見逃されがちです。我々はこの点に注目して,高分子性の粘弾性材料や,より力を散逸させる性質の(疎水性)液体に注目し,これらを足場に用いた場合の幹細胞の分化の様子やメカノバイオロジー応答などを調べています。

3. ナノ拘束材料(Nano-confinement materials)

細胞にはさまざまな機能を担うナノ構造体が存在しています。我々はナノ材料で,その細胞内ナノ構造体に働きかけることで,細胞全体の機能のコントロールする方法を開発しています。例えば,上皮成長因子(EGF)と金ナノ粒子の複合体は,脂質ラフトという細胞膜のナノドメインに作用して,EGF本来の働きとは正反対のアポトーシス(細胞死)を引き起こすことを見つけました。