極限環境材料データユニット|AESD

Division Overview部門紹介

極限環境材料データユニット

概要

当ユニットでは以下の2つの重要な事業を進めています。

1.構造材料データシート事業

各種構造材料を安全かつ効率的に利用するための特性データを取得。構造材料データシートとして発信するとともに、国内の産業競争力を底上げするための技術基盤の構築を目指します。

2.グリーンイノベーション基金事業

NIMSでは、経済産業省が策定した水素に関する研究開発・社会実装計画に基づき、NEDOが推進するGI基金事業の「大規模水素サプライチェーンの構築」プロジェクトに課題提案し、2021年度に採択されました。本課題では、液化水素関連機器の材料に関する規制見直しや技術開発力強化等に資するため、極低温水素環境下での機械特性を評価するための試験設備を整備し、その設備を用いて材料データベースを構築し、その利活用の促進を図ることを目標としています。

主な設備等

1.構造材料データシート事業

疲労データシート https://fds.nims.go.jp

国産材料の基準的疲労特性を提供する目的で1975年に作成を開始致しました。現在は、室温大気中での材料の基準的な疲労特性評価を実施しています。長期疲労が主な課題となっており、打切り繰り返し数 1010 回までのデータを取得しています。使用している試験設備は以下の通りです。

  • マルチ回転曲げ疲労試験機イメージ

    マルチ回転曲げ疲労試験機(通常試験)
    36本同時に試験可。100Hzで3年間で1010回に到達。
  • 超音波疲労試験機(加速試験)イメージ

    超音波疲労試験機(加速試験)
    20kHzで1週間で到達
    ※超音波疲労試験方法の規格化(2017)
    (日本溶接協会規格 WES 1112)

従来は、溶接継手の疲労特性や高温環境下での疲労特性評価も行っていましたが、2012年よりこれらは休止しています。
40種類以上の鉄鋼材料と代表的な非鉄金属材料を対象とし、48年にわたり、136冊のデータシートを発刊しました。
また、データシート資料集はデータシートの解釈を取りまとめたもので非常に参考になります。
機械や構造物の保守・設計、材料開発、事故低減に活用されています。

腐食データシート https://cods.nims.go.jp

本データシートは、1997年に開始した超鉄鋼プロジェクト「構造材料の長寿命化に関する研究」で機構内に大気暴露試験場をを開設してスタートしました。現在7冊のデータシートと写真集7冊を発刊しています(https://dsc.nims.go.jp/)。
各種金属材料および新たな耐食材料開発のための指針となる鉄ベースの基本的な合金材料について、基準的な大気腐食特性を系統的に明らかにすることを目的としています。大気暴露試験は日本工業規格で規定された標準試験法に基づき実施しています。
つくば地区だけでなく、海浜地域での腐食試験も同時に実施しています。海浜地域で雨などによる付着塩分の洗い流しのない遮へい環境下での材料の腐食が非常に深刻になることを報告しています。また、高耐食性材料の設計にも活用されています。

NIMS屋外腐食試験上イメージ

遮蔽暴露試験
遮蔽構造物の下で水平に設置した架台に試験片を取り付け、降雨、日光の直接の影響を避けた状態で行う腐食試験。南北方向に風が抜ける構造。海から飛来する海塩粒子の影響がある地域では試験片表面に海塩が蓄積し、非常に厳しい腐食環境となる。
直接暴露試験
南向きに45°傾斜させた架台に試験片をセットし、降雨、風、日光などの影響を受ける自然環境下で行う腐食試験
極限環境材料データシート 宇宙関連材料強度データシートの後継

極低温環境下での材料データシートを制作しています。NIMSが開発、提案した中空試験片による高圧水素環境下材料特性評価法は、日本高圧力技術協会規格(HPIS)化が検討されています。また、ISO7039:2024「Metallic materials -Tensile testing- Method for evaluating the susceptibility of materials to the effects of high-pressure gas within hollow test pieces」の規格制定に寄与しています。

中空試験片による高圧水素環境下材料特性評価法
イメージ

中空試験片による高圧水素環境下材料特性評価法

2.グリーンイノベーション(GI)基金事業

水素は、様々なエネルギー源から製造することができ、発電や輸送、産業など多岐に渡り利用されること期待されるため、カーボンニュートラル達成に必要不可欠な二次エネルギーと位置づけられています。その水素の社会実装を促すには、供給設備の大型化等を通じた水素供給コストの低減と大規模な水素需要の創出を同時に行うことが求められます。
水素供給コストを低減するには、水素サプライチェーン実証事業等における既存技術と比較して、大型化・高効率化を通じて各構成機器の設備コスト、運転コストを低減していくことが必要です。しかし、液化水素インフラの場合、極低温や水素環境といった過酷な条件で使える材料は限られるため、コストをかけずに大型化するには技術的なハードルが高いのが現状です。
NIMSでは、経済産業省が策定した水素に関する研究開発・社会実装計画に基づき、NEDOが推進するGI基金事業の「大規模水素サプライチェーンの構築」プロジェクトに課題提案し、2021年度に採択されました。本課題では、液化水素関連機器の材料に関する規制見直しや技術開発力強化等に資するため、極低温水素環境下での機械特性を評価するための試験設備を整備し、その設備を用いて材料データベースを構築し、その利活用の促進を図ることを目標としています。

事業名
大規模水素サプライチェーンの構築/液化水素関連機器の研究開発を支える材料評価基盤の整備
事業期間
2021年11月~2025年度(予定)

本事業では、評価試験設備の整備、材料データベースの構築を進める上で産業界のニーズを適切に取り込んでいくために、「大規模水素サプライチェーンの構築」プロジェクトの実施機関等を含む関係機関の有識者からなる「液化水素関連材料評価整備委員会」を組織して、実施の初期段階から、試験設備および付帯設備の仕様、評価対象の材料の選定、データベースフォーマットの仕様など、評価基盤の詳細仕様について、検討を進めています。

お問い合わせ