研究代表者の挨拶 
土谷浩一センター長
(国研)物質・材料研究機構若手国際研究センター センタ−長
土谷 浩一
 

 社会インフラの老朽化は土木関係者の間では以前から問題になっていましたが2012年の笹子トンネルの崩落事故により一気に社会問題として顕在化しました。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)“インフラ維持管理・更新・マネジメント技術”(SIPインフラ)はその様な社会的要請により始まったプロジェクトと言えるでしょう。またプロジェクト最終年度になってイタリアで幹線道路の斜張橋が落橋したのも何か象徴的な出来事の様に思えます。

 このWebサイトはSIPインフラの研究課題“インフラ構造材料研究拠点の構築による構造物劣化機構の解明と効率的維持管理技術の開発”(研究期間:2014年10月〜2019年3月)での物質・材料研究機構(NIMS)—京都大学—東京工業大学—日本大学からなる研究チームの研究成果をまとめたものです。

 今回のSIPインフラの中心テーマはNIMSにとってはあまりなじみのない、鉄筋コンクリート構造物が対象という事でまさに未知との遭遇でした。いろいろな事に戸惑いつつも劣化機構の解明や、各種センシング技術、補修材料、長寿命材料開発などで材料に特化した国研の立場からある程度の貢献はできたかと考えております。それはひとえにプロジェクト提案の時から京都大学 宮川豊章先生、東京工業大学 坂井悦郎先生というコンクリート工学、セメント化学で我が国を代表する先生方にご指導、ご鞭撻を頂くことができたおかげです。この場を借りて心より御礼を申し上げます。またTOPASインフラ構造材料クラスターへは40を超える企業、大学、研究機関に参画頂き、情報交換のみならず、様々な現場実証試験などにご協力頂きました。この場で得られたネットワークは今後のNIMSにとっても大きな財産となるでしょう。

 最後に、5年間に渡り、ご支援を頂いたプログラムディレクターの藤野陽三先生ほかサブPDの皆様、専門委員の先生方、JSTの方々に心から御礼を申し上げます。