イベント
第24回NBCI-NIMS合同連携セミナー

開催目的
プログラム
日時
場所
見学場所:Nano-GREEN棟 1F、5F 蓄電池基盤PF各種施設
懇親会 :Nano-GREEN棟 1F 並木食堂内
プログラム
15:00-17:15
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講演、施設見学、質疑
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17:20-18:20
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講師を囲む懇談会
(懇談会参加費1,500円) |
テーマ:最先端のデバイス/材料開発をけん引する電子顕微鏡解析技術
① 講師:杉山 直之(すぎやま なおゆき)
ナノ材料科学環境拠点(GREEN) ナノ結晶解析グループリーダー
~プロフィール~1994年より(株)東レリサーチセンターにて、走査型プローブ顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いた先端材料の解析に従事。2007年より、国際半導体技術ロードマップ作成委員会(ITRS/STRJ)のWG13(新探究材料)の特別委員を約10年間担当し、主に新規材料(ナノカーボン材料、磁性材料など)がデバイスに実装された際の評価技術の開発に従事してきた。2010~12年まで、SiCウェハの国プロ(次世代パワー半導体技術研究組合(FUPET))に出向しSiCウェハの評価手法の標準化に携わった。2016年7月より物質・材料研究機構に出向し、ナノ材料科学環境拠点(GREEN)のナノ結晶解析Gリーダとして、透過電子顕微鏡/FIB-SEMなどを用いた、Li電池材料の構造解析に従事している。
② 概要:電子顕微鏡技術は、内閣府作成の科学技術基本計画の中の重点分野である「先端計測」技術の中でも、放射光、NMRなど並んで重視される技術であり、また日本の装置メーカー、研究者が世界の中でも存在感を示してきた技術である。
この走査-透過型電子顕微鏡技術(TEM/STEM)においては、10年ほど前に市販の透過型電子顕微鏡に搭載された「球面収差補正装置」が、走査型電子顕微鏡においては、各種検出器の発展などが、それぞれトリガーとなり、発展が加速化している。特に前者の出現によって、原子レベルでの組成・化学状態の解析が可能になったことで、界面構造の本質的な理解が進み、材料・デバイスの研究開発に多大な貢献をしている。
また、走査型電子顕微鏡の分野においては、多様な2次電子/反射電子検出器の登場、組成分析(特性X線検出器など)の高感度化/高機能化によって、多彩な情報が得られるようになってきた。また、上述の球面収差補正装置の出現により、TEMの低加速電圧化が進み、その結果SEMとTEMの境界線がいい意味で不明瞭になり、両者の融合が進みつつある。
電子顕微鏡技術は本体だけではなく、その周辺技術についても目覚ましい革新があり、多くの解析が可能になってきている。例えば、電子顕微鏡用のダイレクトカメラの開発により、高精度・高解像度でのたんぱく質の単粒子解析が可能になった。さらには、冷却および大気遮断ホルダーの出現により、熱や電子線に脆弱なサンプルであっても、ダメージが十分に低減されて、材料本来の姿の観察が可能になってきた。さらには、3次元構造解析(トモグラフィ)、その場観察(operando解析)、磁場/電場の可視化などについても、盛んに研究開発が行われている。
以上のように、電子顕微鏡技術はあまたの分析技術の中でも、最も技術革新が進んだ分野であり、現在そしてこれからも継続的に進歩していく技術であると考えられる。
そこで、本講演では、電子顕微鏡技術の進展について、周辺技術も含め最新技術を紹介し、今後の材料/デバイス開発に対する期待/課題について述べたい。