イベント

イベント

第20回NBCI-NIMS合同連携セミナー

2015.12.17 15:00

開催目的

本セミナーは、NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)材料分科会とNIMSが以下の目的に基づき共同企画し、隔月でつくばにて開催しています。
① NIMSは、自分たちが進める最先端研究を民間企業に紹介することにより、その最先端研究に対する民間企業のニーズを知る。
② NBCI会員企業は、NIMSが進める最先端研究が自分の仕事に如何に役立つかイメージする。
③ NIMSから紹介された研究テーマで興味深いものについては、連携の方法を含めてNIMSとNBCI会員企業との連携について考えていく。
 
受講者は原則としてNBCI会員に限られますが、定員の枠内であれば、NBCIを通して非会員の方の受講も歓迎します。受講を希望される方はNBCI事務局にお問い合わせください。
 
お問い合せ先:NBCI材料分科会事務局 
E-Mail:nbci08=nbci.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください) 

プログラム

1.日時
2015年12月17日(木)15:00-18:20(懇談会を含む)

2.場所
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 
並木地区Nano-GREEN/WPI-MANA棟1F オーディトーリアム

3.見学場所 
研究本館 203実験室

4. テーマ
燃料電池用次世代固体高分子膜
-無加湿/冷却用ラジエターフリーをめざして-
 
5. 講師
金 済徳(キム ジェドク)E-mail: Kim.Jedeok=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
ナノ材料科学環境拠点 高分子電解質形燃料電池グループ
 
6. 当日のスケジュール
1)セミナー    15:00-16:00
2)見学         16:00-16:30
3)質疑応答  16:30-17:15
4)懇談会      17:20-18:20

概要

2014年12月に実用化されたばかりの自動車用燃料電池ですが、NIMSではこの性能を上げ、コストを下げ、さらには、冷却用のラジエターを不要にして、燃料電池自動車をよりシンプルに、安くする技術の開発に挑んでいます。
GREEN高分子電解質形燃料電池グループでは高分子形燃料電池の心臓部である高分子電解質膜の材料及び技術開発を行っています。燃料電池は120℃以下、高・低加湿用と150℃、無加湿への応用として、高分子電解質膜を開発しています。電解質膜はフッ素系ポリマー酸のナノ構造の中にアゾール系塩基が導入したハイブリッド電解質からなっています。これらによりポリマー構造中での導電パスが良く制御され高プロトン伝導体が発現されます。得られた電解質膜は市販品より低温・高温と高加湿・低加湿ともに高い性能を示しています。また、ハイブリッド電解質膜にリン酸をドープすることにより150℃、無水でも応用が可能です。
今回開発した技術は他の電解質への応用も可能であり、現在の電解質材料の導電特性を極端に上げる可能性があります。一方、現在、150℃、無加湿用電解質の高性能化にはリン酸が必要であり、リン酸がない環境下で高プロトン伝導が可能なポリマー電解質膜の設計が求められます。また、電解質膜の低コスト化と共に将来的には環境負荷が少ない材料(炭化水素系)開発が予想されており、NIMSではこれらの材料開発にも取り組んでいます。
 
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=9Mx4Pe9Efc0

開催報告

会員7社から10名の受講者に加え、NBCI事務局他を加え、13名の外部参加があった。その中にはNISM本掲示板経由の1名の参加もあり、本セミナーへの関心が広がっているようだ。
加連GREEN拠点マネージャーの司会で、講演と設備見学の後、まず一回の質問時に一つの質問といういつものスタイルで、企業受講者全員からのQ&Aが行われた。説明が分かりやすくよく理解できたという雰囲気だった。終了後、受講者からは、「現状の燃料電池作動領域としては実施例が少ない、150℃環境下での電解質膜の開発を知ることがでできた」「150℃環境下において何が課題であるか、その課題をどのような方法で解決してきたか等についても理解を深めることができた」「燃料電池に搭載された場合どの程度の性能向上が期待できるかもっと知りたかった」「素晴らしい成果なのに、実用化という観点では、課題設定がうまくされていないのでは?」などと今後への期待や注文も含む、様々な感想をいただいた。そして、懇談会では受講者達が講師を囲い込んで話し込む姿が見られた。本セミナーならでは光景である。本セミナーの狙いの一つでもある、講師と受講者のface-to-faceの相互理解が大いに進展したものと思われる。
12月開催は受講者数がいつも少ないという傾向があり、今回もその制約を逃れることができなかった。致し方ないのかもしれないが、主催者側としては、貴重な機会をより有効に活用していただけるように一層の工夫をしていきたい。
ページトップ