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第18回 NBCI-NIMS合同連携セミナーを開催 -高性能エアロゲル断熱材料-

2015.08.27 15:00

開催目的

本セミナーは、NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)材料分科会とNIMSが以下の目的に基づき共同企画し、隔月でつくばにて開催しています。
① NIMSは、自分たちが進める最先端研究を民間企業に紹介することにより、その最先端研究に対する民間企業のニーズを知る。
② NBCI会員企業は、NIMSが進める最先端研究が、自分の仕事に如何に役立つかをイメージする。
③ NIMSから紹介された研究テーマで興味深いものについては、連携の方法を含めてNIMSとNBCI会員企業との連携について考えていく。

受講者は原則としてNBCI会員に限られますが、定員の枠内であれば、NBCIを通して非会員の方の受講も歓迎します。受講を希望される方はNBCI事務局にお問い合わせください。

お問い合せ先:NBCI材料分科会事務局
E-Mail:nbci08=nbci.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

プログラム

1.日時
2015年8月27日(木)15:00-18:20

2.場所
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 
並木地区 NanoGREEN/WPI-MANA棟1F オーディトーリアム

3.プログラム
技術講演  15:00 ~ 16:00
「可視光の透過性が高く、真空断熱パネルに比肩する高性能エアロゲル
断熱材料の開発」 (日本語講演)
講師:Rudder.WU (ラダー ウー)
MANA ネットワーク構造物質G
http://samurai.nims.go.jp/WU_Rudder-j.html

設備視察   16:00 ~ 16:30   [NanoGREEN棟 201-3号室 断熱材料研究開発Lab]
質疑応答   16:30 ~ 17:15
講師との懇談 17:30 ~ 18:20

技術講演概要

エアロゲルは1931年にスティーブン・キストラーにより発明された低密度の固体で、高い断熱性等の特性を持ち、半透明な外見と低密度から「固体の煙」と呼ばれる固体ながら空気に一番近い物質である。シリカエアロゲルは熱伝導率が低い(およそ0.017 W/mK)ため断熱性が優れている。 本研究では、材料全体の断熱性をさらに高めるために内部に中空構造を持つシリカ中空粒子をシリカエアロゲルに添加し、材料の内部に空気のナノ空間を作ることを試みた。その結果、熱伝導率が空気(0.024W/mK)よりも格段に小さく、真空断熱パネル(0.008W/mK)に比肩する0.011W/mK前後の性能を達成することができた。 この高い断熱性は、熱が伝わる方法である対流・伝導・放射の3方法のほとんどを遮断して実現しており、特に対流による伝熱は、細孔径が空気の平均自由行程より小さく、対流できないことにより抑制される。 また、シリカエアロゲルは赤外線を良く吸収するため、建築物に使えば太陽熱の入射を抑えたまま採光することも可能である。特徴としては、従来の断熱材よりも薄い厚さでも断熱性能が発揮できるので、スペースの限定された箇所での使用が可能になり、省エネルギーや産業設備の小型化等への貢献が考えられる。 本講演ではシリカエアロゲルの熱物性機能を紹介すると共に、断熱材としての応用面についてもふれる。断熱材料の研究開発に関心がある方のご参加を歓迎します。
シリカエアロゲルのSEM写真
参考文献: R. Virtudazo, R. Wu, S. Zhao, M.M. Koebel: “Facile ambient temperature synthesis and characterization of a stable nano-sized hollow silica particles using soluble-poly (methacrylic acid) sodium salt templating” Mater. Lett. 126 (2014) 92-96

開催報告

会員10社から16名の受講者に加え、事務局から3名の参加があった。加連明也GREEN拠点マネージャーによる司会の下、講演と設備見学、その後の質疑応答という流れでセミナーは進められ、講師の開発した新規断熱材料の特徴や製法、応用分野等について理解を深めた。後半の質疑応答のセッションのみならず、実サンプルやデモ実験設備の見学においても数多くの質問が寄せられ大変熱心に意見交換が行われた。将来における熱管理技術の重要性を共有するとともに、今後の展開や特に実用化に向けての産業界との連携に対する期待を改めて認識することができ、講師にとっても更なる励みとなった。
講演するラダー ウー MANA研究者
セミナー概況
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