イベント

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第17回 NBCI-NIMS合同連携セミナーを開催しました (構造材ゼミ009)

2015.06.26 15:00

開催目的

本セミナーは、NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)材料分科会とNIMSが以下の目的に基づき共同企画し、隔月でつくばにて開催しています。受講者は原則としてNBCI会員に限られますが、定員の枠内であれば、NBCIを通して非会員の方の受講も歓迎します。次回以降は本ホームページで事前公開しますので、受講を希望される方はNBCI事務局にお問い合わせください。
①    NIMSは、自分たちが進める最先端研究を民間企業に紹介することにより、その最先端研究に対する民間企業のニーズを知る。
②    NBCI会員企業は、NIMSが進める最先端研究が、自分の仕事に如何に役立つかをイメージする。
③    NIMSから紹介された研究テーマで興味深いものについては、連携の方法を含めてNIMSとNBCI会員企業との連携について考えていく。

プログラム

1.日時:平成27年6月26日(金) 15:00-18:45

2.場所:
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 先進構造材料研究棟 5階 Conference Room

3.プログラム
技術講演  15:00 ~ 16:00
「構造物の歪みを色変化として視認できる新技術の開発
-高品質コロイド結晶薄膜の構造色とセンシング応用-」
講師:先端フォトニックス材料ユニット 応用フォトニック材料グループ
   主席研究員 不動寺 浩


設備視察   16:00 ~ 16:30 233、236標準実験室
質疑応答   16:30 ~ 17:30
講師との懇談 17:30 ~ 18:45 先進構造材料研究棟

4.技術講演概要:
コロイド粒子の自己集積で形成するコロイド結晶薄膜はフォトニック結晶や構造色材料として様々な応用が期待されている。講演者も構造色が変色する新材料を報告してきた[1]。
この新材料の実用化を目指し、構造材料の塑性変形を色変化として視認できる材料とその使い方に関してシーズ技術を開発している[2]。
出口イメージとして社会インフラ(橋梁、トンネル、水道)、産業インフラ(ビル、プラント)や輸送機関(航空機、船舶、鉄道・自動車)を想定している。いわゆる“死の谷”を超えるにはユーザー側のニーズに応じた材料開発が重要である。講演者は土木研究所(土木工学)及び広島大学(非破壊検査)の研究者と異分野融合の研究チーム体制で公的競争資金を活用し、新材料の応用研究を進めている。
一方、新材料やシーズ技術が優れていたとしても、ユーザー側にとって信頼性、安全性、コストなど死の谷を越えるために多くの課題をクリアする必要がある。特にコストに直結する量産化技術として高品質コロイド結晶薄膜の製造プロセスを確立することが必要不可欠である。講演者は結晶化現象を発見し、その原理を応用した成膜プロセスの基礎研究を行っている[3]。
今後、産業界との連携によって成膜プロセスのスケールアップを推進したい。


参考文献;
[1] 不動寺浩,” コロイド粒子の規則配列構造を有するハイブリッド材料とそのスマート機能の工学応用” 日本学術振興会第133委員会50周年記念誌(2013)77-82
[2] 不動寺浩, 澤田勉, 田中義和, 有尾一郎, 百武荘, 西崎到 “金属の歪みを色変化として可視化する技術” 検査技術 18[9] (2013) 26-30
[3] 不動寺浩, 加藤一郎, 澤田勉 “高品質なオパールフォトニック結晶フィルムの 製膜プロセス” ケミカルエンジニアリング 58[10] (2013) 46-54

報告

定員20名のところ会員9社から13名の受講者、事務局から3名の参加があった。長井拠点長の司会の下、60分の講演、45分の設備視察、45分の質疑応答を通じて、講師のオリジナリティ技術に関する理解を深めた。質疑応答セッションでは、受講者全員から総計30個におよぶ多様な質問が寄せられた。後段では単なる質問ではなく、低コスト化や大型化に結び付くアイデア提案となり、その密度の濃い意見交換は講師を囲む懇談の場に繋がった。このように、講師にとっても多くを学び、今後に活かせる貴重な機会となった。
講演する不動寺主席研究員
セミナー概況
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