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【NIMS内公開】構造材料基礎科学ラボ 第1回研究会(構造材ゼミ001)

2014.11.28 13:30

趣旨

ドイツのユーリッヒ中央研究所のDederichs教授グループと共同開発した第一原理計算法の計算プログラムの紹介と応用について講演する。本研究の第一原理計算では、密度汎関数法の一般化勾配近似(GGA)で求まる全エネルギーとポテンシャルの表式を用い、3次元空間に配置された無限の原子の電子分布をFull-Potential (FP) KKR Green関数法で求める。 完全結晶系用のプログラムと格子欠陥系用の計算プログラムの2種類がある。格子欠陥系用の計算プログラムの特徴は、「格子欠陥系の電子構造の計算にスーパーセル 近似とかクラスター近似を使用せず、完全結晶中の格子欠陥を正確に扱う」ことである。また、完全結晶系用の計算に、Screened-FPKKR法の計算も可能となり、数10個の原子の単位胞の規則合金の電子構造・磁性が簡単に求められ、規則合金中の格子欠陥も扱える。

今までの応用例:

① Al、3d、4d遷移金属中の原子空孔形成エネルギー、不純物原子の溶解エネルギー、PACプロ-ブと不純物原子の相互作用エネルギーなどを計算し、実験結果を高精度で再現した。ホイスラー合金中の点欠陥エネルギー(anti-site、swap)も計算した。
② Al、3d、4d遷移金属中の2不純物原子間相互作用エネルギーの距離依存性を求め、第一近接不純物原子間相互作用エネルギーの大きさと符号で、母体原子と不純物原子の2元合金の合金平衡状態図の基本的特徴(規則相型、析出型、全率固溶型、及び、低温で相分離し高温で固容体の型)が予測できることを示した。
③ 低濃度での不純物溶解度限の実験結果を、配置エントロピーの温度効果をクラスター変分法で評価する計算で再現した。
④ 母体の全エネルギーと不純物原子の4体相互作用エネルギーまでを取り込む実空間クラスター展開法で、母体元素と不純物元素の2元規則合金の全エネルギー(バンド計算結果)が1原子当たり1mRy以内の誤差で再現できることを示した。

最近の研究:
母体原子と原子サイズのミスマッチが大きい不純物原子系の相互作用エネルギーの格子歪効果を定量的に調べている。不純物原子による格子歪と体積膨張、PACプローブと不純物原子との相互作用エネルギーなどの実験結果が本研究の計算で高精度に再現される。

連絡先:大塚秀幸 Ohtsuka.hideyuki=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)

プログラム

1.日時
平成26年11月28日(金) 13:30~14:30

2.場所
独立行政法人 物質・材料研究機構 千現地区8F中セミナー室

3.講演(日本語)
「金属・合金中の点欠陥相互作用エネルギーの第一原理計算
-密度汎関数法の一般化勾配近似(GGA)とFull-Potential KKR Green関数法」
講師:静岡大学 星野 敏春 教授
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