拠点について

設計・創造分野

分野長ご挨拶

井上 忠信
 井上 忠信

戦後の我が国の復興・繫栄への道程おいて、構造用金属材料の寄与は大きく、自動車産業、造船業、インフラ・エネルギー産業等の製造業の発展に多大な貢献をしてきたと言えます。現在、我が国の名目GDP(国内総生産)は約500兆円であり、製造業はそのうちの20%を占めており、これを継続あるいは向上させることが必要です。しかし、我が国の製造業を担うモノづくり産業の現状は厳しく、製造設備や社会インフラの劣化問題、急速な高年齢化とモノづくり技術の伝承不足も重なり、画期的な特性を有する構造用金属材料が生まれにくい環境であり、“今迄のようにはいかない”ということは容易に想像できます。新材料の誕生は、周辺の科学技術を一変させる爆発的な力を持つにも関わらず、“創る・見る・調べる”という材料の研究開発の中で、“創る”ことを主体した研究は希少となりつつあります。【使われてこそ材料】の理念を掲げるNIMSにおいて、従来の延長線上にない新たな特性を有する材料の創成を目指し、かつニーズの探索を実施・継続し、社会に貢献する組織でなることが求められています。材料創成においては、高強度化することで失う特性を同時に向上する微視組織の探究(組織設計)とその組織を有するバルク体(棒線、薄板、厚板、複雑形状など)創成のプロセス研究開発(創造)を推進します。ニーズの探索においては、企業のモノづくり現場の見学やNIMS内外の方々との意見交換を積極的に実施します。本拠点の2つの分野とNIMSの材料創製・加工ステーションと密に連携することで、溶解/鋳造~塑性加工~組織解析~特性評価の一貫した研究スタイルを通じて、これに数値シミュレーションを積極的に活用することで、発想から実用化までの時間と労力を飛躍的に短縮し、社会に順応した材料の研究開発を推進し、我が国のモノづくり産業に貢献することを目指します。(2018.04.01)

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