読者の皆様
あけましておめでとうございます。
鉄鋼をはじめとする金属の研究において、溶解・圧延・熱処理といった技術は必要不可欠なものであります。NIMSにはそれらを支える技術者と装置群、そして、操業技術があります。
今回は、その紹介です。
■ 金属材料創製のための技術開発と共用促進-----------------------------------------
超鉄鋼研究センター 創製技術チーム 岩崎 智
「新春の、喜ばしいい、便りかな！」・・・明けましておめでとうございます。
新年号に当たり、当創製技術チームのコマーシャルメッセージと、させて頂きます。
【研究共用基盤部門の紹介】
創製技術チーム（旧 技術開発チーム）は、ＮＩＭＳでの金属材料研究における各研究課題に適した素材提供を始めとして、金属材料創製に関わる関連設備の管理運営および各研究課題に即した実験操業を行うことで、各研究者からの金属材料創製に関する要望に応えております。
なお、当チーム業務は所属機関であるＮＩＭＳ内の研究者だけではなく、外部機関からの要望にも応じて金属材料研究に関する創製技術を提供しております。
ここでは、材料創製に必要な実験ツールとしてのＮＩＭＳ共用設備となる、溶解・鍛造圧延・熱処理などの各研究設備を簡単に紹介すると共に、外部機関からの技術相談や作業実施依頼・施設見学等の窓口のご案内をさせて頂きます。
【共用設備】
- 溶解設備
- 高周波真空溶解炉：溶解量鉄換算3kg〜20kgまで対応できる溶解炉を保有しております。溶解物に適したルツボで溶製し、組成制御を行った後に鋳造してインゴットを作製いたします。
- なお、実験条件により特殊鋳型を用いてas cast材の冷却速度をコントロールした実験などへの応用展開も図っております。
- 超清浄特殊溶解装置：ＮＩＭＳ独自の浮上用と加熱用へ役割分担させた高周波電源を2台使用した浮揚溶解装置です。
- 溶解量鉄換算2.4kgで、酸化物を使用しないので純チタンやチタン合金などの活性な金属や高純度金属の溶製に適した装置です。
- 鍛造・圧延設備
- 油圧鍛造装置：最大出力300ton、平アンビル鍛造で、主に上記溶解インゴットの成型に使用し、他の圧延加工などへの素材成型用として使用しています。
- 熱間2段圧延機：最大圧延荷重150ton、板幅250mm以下、板厚2〜30mmの素材寸法で、材料により冷間でも使用する平ロール圧延機です。
- 溝ロール圧延機：最大圧延荷重150ton、溝寸法40mmを最大とし、平均減面率約18% ずつ減少させる18本の角溝構成となっております。材料により熱間または冷間で圧延を行います。
- 冷間4段圧延機：最大圧延荷重150ton、板幅180mm、板厚5mm以下の素材寸法で、冷間一方向圧延機です。
- スエージングマシーン：4方向ダイスを使用した最大加圧力70tonの30mmΦ → 6mmΦ用と、最大加圧力18tonの10mmΦ → 0.35mmΦへの加工を行う2台を整備しております。
- 加熱・熱処理炉
- 鍛圧用加熱炉：炉内有効寸法440W×1200L×470H?の1300℃までの炉と、炉内有効寸法150W×250L×150H?の1150℃までの加熱炉2台があり、上記圧延機に隣接させ熱間鍛造・熱間圧延に使用しております。
- 熱処理炉：均熱範囲600W×1200L×400H?の500〜1400℃までの大型熱処理炉と、均熱範囲300W×800L×200H?の200〜850℃までの焼鈍用熱処理炉の2台があります。
【お問い合わせ窓口】
- 設備見学：ＮＩＭＳの見学は、広報室 TEL 029-859-2026 FAX 029-859-2017まで！ 溶解圧延加工設備関連は、創製技術チーム TEL 029-859-2116 FAX 029-859-2101 岩崎または広報室（上記）まで！
- 溶解、圧延加工の技術相談：創製技術チーム 岩崎（上記）または知的財産室 TEL029-859-2600, FAX.029-859-2500まで！
- 共同研究および業務実施：知的財産室または岩崎までご相談下さい。
創製技術チームでは、組成制御技術を駆使した溶製から組織制御技術である加工を行う設備群を構築し、各実験操業により材料創製への知見を蓄積しております。
さらに、これらの応用を行うことで特殊装置開発や操業技術の向上から新材料創製への取り組みを行っております。
また、上記にご紹介いたしました装置以外でも、対応可能なものもあります。お気軽に、ご相談下さい。
