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読者の皆様

編集委員長の鳥塚です。ミレニアムE-Newsからつくば〜冶金だよりに代わり第2号となりました。我々が属するのは超鉄鋼研究センター冶金グループであり、冶金という言葉でグループ名を表しているのは日本で我々だけではないでしょうか。
我々はその古風とも言える名前が結構気に入っています。

そこに属する長井ディレクターをトップとする職員8名非常勤職員26名からなり、結晶粒微細化や超微細粒鋼の創製を軸として、 以下の学問領域の研究を行っております。

1.鉄鋼組織制御

   凝固からの組織制御

   加工熱処理による組織制御

2.プロセス技術開発

   凝固、 圧延・加工、シミュレーション

3.力学的性質

   強度・破壊

4.技術移転、他

つくば〜冶金の方針として、この4分野を各数回ずつ連続してトピックをお伝えしてゆこうと考えております。今回は、特別研究員榎波啓太郎氏より、強度・破壊の分野でのトピックスを報告してもらいます。

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局所くびれ以降の相当応力−相当ひずみ関係の推定手法
冶金グループ 榎並 啓太郎
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概要:

深絞り、冷間鍛造、チューブハイドロフォーミング等の塑性加工において、場合によっては相当ひずみが約1.0になるまで鋼材が変形する。塑性加工の限界を予測するため、数値シミュレーションが必要である。数値シミュレーションには、鋼材の相当応力−相当ひずみ関係を相当ひずみが1.0まで入力する必要がある。現行の引張試験では、荷重と標点伸びを測定する。

しかし、荷重−標点伸び関係を基に作図される相当応力−相当ひずみ関係は、局所くびれ発生まで、すなわち相当ひずみが高々0.1〜0.3までしか決定できない。そこで、本研究では平滑丸棒引張試験を断続して行い、局所くびれ以降の荷重とくびれ断面直径を測定した。

荷重−くびれ断面直径関係を基に、くびれ断面の平均応力−相当ひずみ関係を相当ひずみが1.0まで決定できる。
しかし、局所くびれ以降、くびれ断面は三軸応力状態となるため、平均応力は相当応力と異なる。平均応力から相当応力を推定するためには、くびれの曲率半径を求める必要がある。

そこで、光学顕微鏡によりくびれ部の写真を撮影し、作図法によりくびれの曲率半径を決定した。そして、くびれの曲率半径の実測決定データを基に、平均応力−相当ひずみ関係から相当応力−相当ひずみ関係を相当ひずみが1.0まで推定できることを示した。

参考文献

  1. 榎並, 長井:断続引張試験による局所くびれ以降の真応力−真ひずみ関係の評価, 鉄と鋼, 掲載予定

  2. K.Enami, K.Nagai, T.Inoue, S.Torizuka and Hai QIU: Estimation of equivalent stress-equivalent strain relationship after local necking, 第9回超鉄鋼ワークショップポスターセッション, 物質・材料研究機構, つくば市,(2005), 掲載予定

  3. K.Enami and K.Nagai: Evaluation of plastic deformation limit by circumferentially notched tension test, ISIJ International, Vol.45, (2005), pp.930-936

  4. 榎並, 長井:円周切欠引張試験による塑性変形限界の評価, 鉄と鋼, Vol.91,(2005), pp.285-291