2つの電極間で放電させること(アーク放電)によって形成されたプラズマの一種。電車のパンタグラフで時々発光するのも、電気コードをショートしたときに発光するのもアーク放電です。
溶接に利用するアークは、電流が数十アンペアから千アンペア以上という大電流が流れています。そして、アークが消えることなく持続して発生するように色々と工夫がされています。
アーク(あるいはアークプラズマ)は、プラズマ物理学、電磁流体力学、分光学などさまざまな学問分野で研究され、今も興味深い研究対象です。
アーク(あるいはアークプラズマ)とは、いったいどのようなものか(T)
分光法によって得られた温度分布例を上左図に示しています。
上の電極(マイナス極)はタングステン材で、下の電極(プラス極)はステンレス鋼板です。
その空間には通常はアルゴンガスで大気を遮蔽しています。
これが溶接に利用されるときのアークの環境です
(ガスタングステンアーク又はTIGアークと呼ばれるものの場合)。
ただし、写真はアルゴンに水素ガスを少し混合した特殊なアークです。
アークプラズマの温度は、10,000度を超えています。
このアークプラズマは、アルゴン原子、アルゴンイオン、電子で構成されています。
この中の電流とは逆に流れる電子がプラス電極へこの高温状態のエネルギーを運び、下の電極、
つまり溶接される材料(母材と呼びます)を溶かします。
アーク(またはアークプラズマ)とは、一体どのようなものか(U)
1,000度以上の高温のアークの中では、上の電極側から下の電極へ向かって高速のガス気流が流れています。この気流をプラズマ気流と呼びます。プラズマ気流の速さは、秒速100mにも達します。このプラズマ気流が、下の電極金属の溶融している部分(溶融池と呼びます)を押し下げます(上左図)。
この押し下げる力をアーク力と呼びます。TIGアークで、アーク力を計測した例を示します。
アーク力は、上の電極を鉛筆の先のように、45度の角度に尖らすときに一番強力になります。また電流が大きくなるに従って、強力になります。