材料研究所長 佐藤 彰
2001年4月に発足した独立行政法人物質・材料研究機構に組織された3つの研究所の1つとして材料研究所の活動を開始しております。
材料研究所では、これまで金属材料研究所で行ってきた金属材料に関する研究を基盤とし、これをさらに発展させて機構が掲げる中期目標の達成にベストを尽くす所存です。平成13年度は、研究職員約260名、外部研究者を含めると約500名、研究予算は大凡50億円で、3研究所の中で1番大きく、それだけ責任も重いと緊張しております。研究所の組織は材料基盤研究センターと構造材料研究センターに別れ、合計11研究グループ、4研究チーム、及び材料試験事務所からなっております。
材料研究所における研究は、機構に与えられた中期目標を達成するために立てられた中期計画に従って推進されております。紙面が限られているため、今後大きく進めたいと希望する主なプロジェクトを紹介します。安全、健康、快適社会を実現する材料技術として超鉄鋼材料研究は「20世紀インフラの21世紀型再生プロジェクト」と考え鋭意遂行します。生体材料研究については、物質研のセラミックス生体材料の研究と緊密な連携の基に研究を進めます。環境・エネルギー材料技術としての超伝導材料研究は「21世紀新展開プロジェクト」として、物質研、ナノマテ研と共に機構一丸となり、これまでマルチコアプロジェクトで培ってきたポテンシャルを融合して推進します。昨年制定された「循環型社会形成基本法」に対する材料研究としてリサイクル鉄プロジェクトが開始されておりますが、本法律に相応しい新しい技術体系、法体系を構築するために現在遂行中の大規模調査を踏まえ、大量生産−大量消費−大量廃棄を根本から変革し、資源生産性を画期的に高める「脱20世紀プロジェクト」を立ち上げたいと希望しております。また、これまで長年に渡って培ってきたナノ計測・解析技術を発展させ、高性能ナノ材料創製の研究を発足させたいと思います。さらに、材料情報に関するナショナルセンター、強磁場施設を中心とする共同利用ナショナルセンター等の創設も検討したいと考えております。
研究環境を整えるフロント役の理事のもとで、監督役の所長としては、選手に当たる研究者に研究を遂行して戴くためにあらゆる努力を惜しまない所存です。皆様方のご指導、ご鞭撻、ご支援のほど宜しくお願いします。