講演要旨
磁気力顕微鏡 (Magnetic Force Microscope: MFM) は、磁性探針を試料表面で走査することにより探針と試料間で働く磁気力を検出して画像化する顕微鏡であり、磁性材料や磁性デバイスの磁区構造観察で活用されている。本発表では、MFM観察分解能の推移を紹介し、そのキー部品である磁性探針の材料や構造を改良することによって高分解能な磁区構造観察が可能となることを説明する。探針に用いる磁性材料はFe, Coなどの金属材料であり、AFMなど他のプローブ顕微鏡観察で用いられるSiやSi-N探針に比べて軟らかく、また酸化による磁気特性劣化も起こり易いので取扱いでは注意も必要である。研究室で開発した磁性探針を用いて観察した高密度磁気記録媒体の磁区構造などを紹介し、使い勝手の良い高分解能MFMや今後の可能性を展望する。