表面微小領域グループ

表面領域における分析は、ナノ材料をはじめとする機能性材料のキャラクタリゼーションには不可欠なものです。 表面・微小領域分析グループでは、主にX線、電子ビーム、イオンビームをプローブとする電子分光法 (AES、XPS)、及び二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS)、電子線マイクロアナリシス(EPMA) を用いて、表層1nm~数µm、空間分解能 数nm~十数µm (いずれも手法、装置および測定条件に依存) における元素分析、定量分析、化学状態分析を行っています。検出深さの浅いAES、XPS、TOF-SIMSでは最表面の分析ができるだけでなく、イオンスパッタリングと組み合わせることで深さ方向の分析も可能です。この他、走査電子顕微鏡 (SEM) も保有しており表面形態観察のほか、X線分光法 (EDS) と組み合わせて組成分析も行えます。
当グループでは、上記分析手法を用いて機構内外からの依頼分析に対応しています。また、AESを用いて高傾斜ホルダーを作成し深さ方向分析で非常に高い深さ分解能での測定を実現、EPMAにてモンテカルロシミュレーションと組み合わせより高い精度での定量分析を実現、高エネルギー分解能電子エネルギー損失分光装置(EELS)の開発、材料データプラットフォームセンターの材料データ解析グループと共同でXPS自動解析プログラムの開発、など新しい表面分析法の開発・確立に取り組んでいます。さらに、表面分析技術の標準化に向けた取り組みも進めています。

専門分野・研究対象

・X線光電子分光法 (XPS : X-ray photoelectron spectroscopy)

X線をプローブとし、試料から放出された光電子の運動エネルギーを分析することで、表面 (検出深さ~10nm) の元素分析、定量分析、化学状態分析が可能です。深さ方向分析や化学状態の2次元 (3次元) 分布観察も可能です。
対象試料 : 金属,半導体,無機材料から有機材料まで幅広く対応
保有装置 : アルバック・ファイ社製 Quantera-SXM
集光型X線源を有し、空間分解能~10µmでの測定が可能。
依頼形態 : 技術代行のみ (立会測定可)


・オージェ電子分光法 (AES : Auger electron spectroscopy)

細く絞った電子線を固体試料の表面に照射し,そこから放出されたオージェ電子の運動エネルギーと強度分布を測定することにより,元素分析 (定性分析) ,定量分析が可能な表面分析法です.希ガスイオンなどのスパッタリングを併用することにより,深さ方向の元素組成変化を調べることができます.
対象試料 : 金属,半導体,無機材料など
保有装置 : アルバック・ファイ社製PHI-680
円筒鏡形エネルギー分析器を有し、凹凸のある複雑な形状の試料でも影なく測定が可能
日本電子製JAMP-9500F
半球型エネルギー分析器を有し、高エネルギー分解能を利用した化学状態分析が可能
依頼形態 : 装置利用 (PHI-680) ,技術代行 (PHI-680, JAMP-9500F)


・飛行時間型二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS : time of flight secondary-ion mass spectrometry)

イオンビームをプローブとし、試料から放出された二次イオンをその飛行時間差を利用して質量分析することで、最表面 (~1nm) に存在する元素や分子種の同定およびその分布情報を得ることが可能です。XPSやAESに比べて非常に高感度 (~ppm) な分析ができます。フラグメントイオンの解析をすることで特に有機物の同定・識別に威力を発揮します。
対象試料 : 金属,半導体,無機材料から有機・生体材料 (但し、超高真空に導入可能な乾燥試料) まで幅広く対応
保有装置 : アルバック・ファイ社製 TRIFT-V nano-TOF
一次イオン源にBiを使用。高質量分解能スペクトルとイメージングを同時に取得可能
依頼形態 : 技術代行のみ (立会測定可)


・電子線マイクロアナリシス (EPMA : electron probe microanalysis)

試料に細く絞った (サブμm~数μm) 電子線を照射することにより、試料表面から得られる二次電子像,反射電子像 (凹凸像,組成像) を観察することで、試料表面の形状,凹凸や平均原子番号情報を得ることが可能です。また、発生した特性X線を測定することにより元素の同定,1次元および2次元の元素分布や組成分析 (定量分析) が可能です。
対象試料 : 金属,半導体,無機材料 (有機材料は不得手)
保有装置 : 日本電子製 JXA-8900RL (熱電子銃 : タングステンフィラメント)
大電流測定による微量分析 (数ppm~数十ppm) が可能。
日本電子製JXA-8500F (ショットキー電子銃)
サブμmレベルでの空間分解能,コンタミ除去機能搭載,マッピング定量ソフト搭載
依頼形態 : 技術代行のみ (立会測定可)


・走査電子顕微鏡 (SEM : scanning electron microscope)

電子線をプローブとし、試料から放出される二次電子を検出することで、表面の形態観察が可能です。また、反射電子を利用したBSE検出器や透過電子を利用したSTEM (走査型透過電子顕微鏡) 機能を有する機種では、表面に存在する元素の原子番号に依存したコントラスト (組成コントラスト) を観察することが可能です。さらに、エネルギー分散型X線分析 (EDS) と組み合わせて特性X線を検出することで、試料表面の元素の同定とその分布観察、定量分析ができます。
対象試料 : 金属,半導体,無機材料から有機材料まで幅広く対応
保有装置 : 日本電子製JSM-6510 (熱電子銃 : タングステンフィラメント)
試料サイズ150mmΦまで対応。
日本電子製JSM-6500F (ショットキー電子銃)
EDS (JED-2300D) 搭載。
 日立ハイテク製SU8000 (冷陰極電解放出形電子銃)
EDS (QUANTAX FlatQUAD) 搭載。
 日立ハイテク製S-5500 (冷陰極電解放出形電子銃)
インレンズタイプ。STEM機能搭載。
依頼形態 : 装置利用、技術代行 (ただし、SU8000+EDSについては技術代行)