多結晶光学材料グループ
2023.04.01 更新
光学セラミックスは、高効率社会あるいは安全・安心を提供するセンサー用の各種窓材や高輝度光源等に不可欠なキーコンポーネントです。日本は、これまでセラミックスレーザー材料に代表される透光性セラミックスの研究開発において優れた実績を有し、世界をリードしてきました。光学セラミックス材料に関連する研究開発は世界的にも注目されており、引続き新たなセラミックス素材ならびにその創製技術の開発を進めていくべき分野と考えられています。本グループでは、こうした観点から、重要技術であるセンサー用の窓材や高輝度光源用の多結晶光学セラミックスの実現に貢献し得る新規材料の開拓とその創製技術の実現を目指しています。
主な研究成果
パルス通電焼結(SPS)法を活用した微細組織を有する透明スピネルの例.
光学部材において光学特性と機械特性の両立を図るには、組織の緻密化や微細化の実現が不可欠です。焼結機構の解明に基づく焼結パラメータや微細化・複合構造の最適化を図ることで、スピネル基の透明セラミックス複合材において、優れた透光性と機械的特性を重畳する高強度・広帯域透過性セラミックスを実現しました。
YVO4:Eu3+ ナノ粒子と(Y,Gd)2O3:Eu3+透明・蛍光発光セラミックスの例。従来品よりも低温で製造でき、透光性に優れる.
本グループでは、湿式プロセスを駆使して独自に合成した高品質粉末を原料に、 光機能性セラミックス材料の開発を行っています。結晶形態を制御した酸化物、酸硫化物、フッ化物、ホウ化物など、種々のカチオン添加無機化合物粉末の創製を通じて、単結晶のような高品質の光学多結晶透明セラミックの低温創製に成功しており、近赤外蛍光体やセラミックシンチレータへの展開が期待できます。
高温延性を示すB4Cセラミックスの外観とその高温特性、および延性を生み出すナノ組織の例.
超高温セラミックス (Ultra-High Temperature Ceramics : UHTC) は、核融合炉用の耐プラズマ部材、エンジン部材、航空宇宙用部材などの極限環境部材への利用が期待されています。これら先端分野におけるセラミックス部材には、高温強度、靭性および硬度などの機械特性をバランス良く備えた新しい軽量セラミック材料が不可欠です。本グループでは、2000°Cの高温域においても優れた硬度、靭性、および曲げ強度を兼備えた炭化物、 ホウ化物、および窒化物系セラミック複合材料の研究を行っています。取得知見は、オプトセラミックスの組織制御への展開を見据えています。