ナノフロンティア超伝導材料グループ

超伝導はゼロ抵抗で電気のエネルギーをロス無く輸送できるため、環境エネルギー問題解決の切り札の一つとして期待されています。我々は、鉄系超伝導体、ダイヤモンド超伝導体、高温超伝導体、カーボンナノチューブ等の基礎物性に着目して研究を行っています。新しい超伝導材料を用いた超伝導線材の開発を行います。 最近では、材料データベースを用いた機械学習による新物質探索に力を入れており、次々に新超伝導体を発見しており、室温超伝導体発見を目指しています。 また、高効率水素液化のための磁気冷凍装置に組み込む新規磁気冷凍材料にも取り組んでおり、ここでも機械学習により候補物質を絞り込み、さらに研究者の経験を組み合わせて新物質探索を行い成功を収めています。

専門分野・研究対象

1. 鉄系超伝導体や新規超伝導体探索の研究

鉄系超伝導体のなかでも、最も単純な結晶構造をもつFeSe系超伝導体の研究をしています。この物質に圧力を加えると超伝導転移温度Tcが約3倍も高くなることが新たに発見されました。さらに、この材料を細長く加工し、超伝導線材を作製しています。また、我々のグループで、FeTeにSをドープすることによって新超伝導体が発見されました(図1,2)。新超伝導体の発見のチャンスは誰にでもあります。夢の室温超伝導体を求めて、新超伝導物質を探索しています。

「図1. FeTe新超伝導体の結晶構造」の画像

図1. FeTe新超伝導体の結晶構造


「図2. Fe(Te,S)系超伝導の電気抵抗。約10K以下で超伝導が出現。」の画像

図2. Fe(Te,S)系超伝導の電気抵抗。
約10K以下で超伝導が出現。




2. ダイヤモンド超伝導の研究

「図3.電極をパターニングしたダイヤモンドアンヴィルによる超高圧発生及び硫化水素の超伝導転移の測定例」の画像

図3.電極をパターニングしたダイヤモンドアンヴィルによる超高圧発生及び硫化水素の超伝導転移の測定例


(1) 世界で最も硬いダイヤモンドを電極とした物性測定装置
超高圧力下では、水素の室温超伝導など非常に興味深い物理現象が予測されている。一方でこのような極限環境下で物性測定を行うためには、電極の強度の問題など様々な困難が存在する。そこで我々は、世界で最も硬い電極であるホウ素ドープダイヤモンドを、微細加工技術によって電極へと加工し、世界で初めてダイヤモンド電極導入型の圧力装置を開発した。

(2) 100 GPa以上の超高圧力の発生に成功
開発したダイヤモンド電極導入型圧力装置を用いて圧力発見実験を行った結果、100 GPaの超高圧力の発生に成功した。マルチメガバール領域で起こる様々な物理現象の観測に応用が期待される。

(3) 機械学習による新超伝導体の発見
これまでの超伝導体は、研究者の経験と勘、偶然性にたよることが多く、セレンデピティについて議論されることもあった。高野グループでは、まず圧力を掛けることによって超伝導が発現すると予想される新規超伝導物質を機械学習による候補としてピックアップし、超伝導になるかどうか確かめている。これまで、SnBi2Se4、PbBi2Te4等を発見し、候補物質はほぼ100%超伝導を示している。


3.水素液化のための高性能磁気冷凍材料の開発

「図4.世界最高の性能を持つHoB2材料の磁気転移、エントロピー変化等の基本物性」の画像

図4.世界最高の性能を持つHoB2材料の磁気転移、エントロピー変化等の基本物性


(1) 水素社会に向けて
2017年政府により「水素基本戦略」が策定され、2030年の水素利用社会の実現に向けて、産学官連携によりいろいろな研究・開発がなされています。日本ーオーストラリアの共同によりヴィクトリア州ラトロブバレーの褐炭を利用した水素産出、現地での水素液化、日本への輸送、水素発電により、日本のエネルギー事情の改善及びCO2地球温暖化ガスの削減をすることが期待されています。

(2) 高性能磁気冷凍材料の開発
学習モデルを用いて、これまでに調べられていない未知性能の水素液化温度付近で作用する磁気冷凍材料の候補物質を探索しました。その候補物質の磁気転移温度、エントロピー変化、磁気冷凍性能評価値 (RCP) を実際に測定・評価したところ、これまで報告された物質と比較して世界最高の性能を持つHoB2材料を開発しました。現在、磁気構造や基本物性、ドーピングによる磁気転移温度の制御、実際の磁気冷凍AMR装置への実装のための研究を行っています。


お問い合わせ先

ナノフロンティア超伝導材料グループ
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1