分子メカトロニクスグループ
電気活性液晶・高分子材料の創製と運動素子開発
2022.01.17 更新「分子メカトロニクス」は「分子+メカニクス (機械) +エレクトロニクス (電子) 」の3つを組み合わせた新しい研究領域です。本グループでは、液晶、ブロック共重合体、パイ共役系高分子、金属有機構造体 (MOF) 、共有結合性有機構造体 (COF) 、天然多糖類ハイブリッドを対象とした分子自己組織化、ナノからセンチメートルスケールの階層的秩序構造と配向の制御により、高速にイオンや電子を伝導する新規ソフトマテリアルの開発を進めています。
これらの有機高分子材料を基盤として、電界によって屈曲・伸縮運動を示すソフトアクチュエータ、強誘電性・エレクトレット形成・分子集合体の動的構造変化を活用したフレキシブルな圧電・力学センサー素子、硬さが自在に変わる材料などの開発を推進します。バーチャル・リアリティーに資する触覚伝達機器、ロボット用皮膚、生物模倣の移動体などの次世代スマートデバイスの構築につながる新しい技術と学理を構築することで社会への貢献を目指します。
液晶性イオン伝導材料の開発と機能性膜・素子への応用
- イオン伝導路の次元制御とマクロスケール配向
- 液晶場光重合によるナノ構造固定化高分子フィルム作製
- イオン伝導型アクチュエータの創製
- 逆浸透膜、ウイルス分離膜、色素吸着膜、リチウムイオン電池電解質への応用
高速イオン伝導を示すフレキシブルな有機高分子膜材料の開発が、ソフトアクチュエータ、燃料電池やリチウムイオン電池、水処理膜の高性能化のために必要な研究課題となっています。我々は、分子が自発的に秩序構造を形成し、表面処理や電場や光などの外部刺激に対して応答性を示す液晶の特性を活用して、高速イオン伝導パスを構築する研究を行っています。これにより既存材料では成し得ない、一次元や二次元の異方的イオン伝導パスの構築、液晶−液晶相転移を利用したイオン伝導ON/OFFスイッチングや液晶配向変化を用いたイオン伝導方向のスイッチングが可能となります。また、液晶場での光重合を活用することで、液晶ナノ構造と配向が固定化されたフレキシブルかつ機械的に安定な架橋高分子フィルムを作製することもできます。
特に、イオン液晶などの両親媒性分子とイオン液体の自己組織化によるイオン伝導路の次元制御に着目して、イオン伝導型アクチュエータ (図1) 、きまったサイズのナノ細孔が連続した水処理膜の開発 (図2) を展開しています。

図1. イオン性カラムナー液晶高分子アクチュエータ

図2. 重合性双性イオン分子とプロトン性イオン液体のカラムナー液晶自己組織化、光重合によるプロトン伝導液晶高分子膜の構築
電気活性なパイ共役液晶・ブロックコポリマーの開発と素子化
- メカノクロミック発光材料の設計
- 強誘電性と半導体特性を融合した有機材料の構築
- レドックス活性分子機械の設計とアクチュエータ応用
- 不揮発性メモリ機能の有機トランジスタ、圧電素子の作製

図3. メカノクロミック発光性液晶

図4. バルク光起電力効果を示す強誘電性π共役液晶

図5. メモリ機能を示す有機薄膜トランジスタ
自己組織性金属有機かご型分子の合成と機能化
・かごナノ空間における電子・イオン輸送
・自己修復や形状記憶などの外部刺激応答機能

図6. ナノ空間におけるナノワイヤー形成

図7. 自己修復機能を示すナノ空間型液晶ゲル
グループメンバー

(別ウィンドウで開きます)相見 順子
(あいみ じゅんこ) 主任研究員

Meng Wenjing
(メン ウェンジン)
研究員

(別ウィンドウで開きます)山内 祥弘
(やまうち よしひろ) 独立研究者
公募情報
- 2022.12.08 任期制 研究業務
お問い合わせ先
- 分子メカトロニクスグループ
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〒305-0047 茨城県つくば市千現1−2−1
TEL: 029-860-4728
E-Mail: YOSHIO.Masafumi=nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)