- イオン伝導路の次元制御とマクロスケール配向
- 液晶場光重合によるナノ構造固定化高分子フィルム作製
- イオン伝導型アクチュエータの創製
- 逆浸透膜、ウイルス分離膜、色素吸着膜、リチウムイオン電池電解質への応用
高速イオン伝導を示すフレキシブルな有機高分子膜材料の開発が、ソフトアクチュエータ、燃料電池やリチウムイオン電池、水処理膜の高性能化のために必要な研究課題となっています。我々は、分子が自発的に秩序構造を形成し、表面処理や電場や光などの外部刺激に対して応答性を示す液晶の特性を活用して、高速イオン伝導パスを構築する研究を行っています。これにより既存材料では成し得ない、一次元や二次元の異方的イオン伝導パスの構築、液晶−液晶相転移を利用したイオン伝導ON/OFFスイッチングや液晶配向変化を用いたイオン伝導方向のスイッチングが可能となります。また、液晶場での光重合を活用することで、液晶ナノ構造と配向が固定化されたフレキシブルかつ機械的に安定な架橋高分子フィルムを作製することもできます。
特に、イオン液晶などの両親媒性分子とイオン液体の自己組織化によるイオン伝導路の次元制御に着目して、一次元イオンチャンネル (図1) や三次元的に連結したイオン伝導パス (図2) を形成した液晶高分子アクチュエータの開発および決まったサイズのナノ細孔が連続した水処理膜の開発 (図3) を展開しています。
図1. 一次元イオンチャンネルを形成した液晶高分子膜アクチュエータ
図2. 三次元イオンチャンネルを形成した液晶高分子膜アクチュエータ
図3. 二次元リチウムイオン伝導パスを形成した液晶と高分子からなるミクロ相分離構造を有する不燃性自立膜による80Hz高速振動アクチュエータ 、限外濾過による三次元多孔ポリマー構造の実証実験
図4. 重合性双性イオン分子とプロトン性イオン液体のカラムナー液晶自己組織化、光重合によるプロトン伝導液晶高分子膜の構築