界面計算科学グループ

2022.01.12 更新

電池や触媒の中で電子やイオン・分子がどのように振舞っているのか?それらをどうやって制御するのか?を知ることは、今日のエネルギー・環境技術の最重要課題となっています。そして、その基本過程は固体—液体または固体—固体の「界面」における酸化還元・電子移動反応とイオン移動反応で統一的に捉えることができます。しかし、多数の電子・イオンが複雑に絡み合ったこれらの現象の理論的解析手法はまだ確立していません。

界面計算科学(Interface Computational Science :IFCS)グループは、界面周辺の複雑な電子やイオン・分子のダイナミクスを密度汎関数理論(DFT)ベースの量子力学計算と統計力学サンプリングを組み合わせることで高効率かつ高精度に予測する研究を行なっています。また反応速度論と組み合わせたkinetics解析、データ駆動型AI解析といった最先端計算・データ科学研究も行なっています。さらにスーパーコンピュータ「京」および「富岳」のヘビーユーザーとしてそれらの効率的利用から、これまでの常識では想定されなかった新規な現象・メカニズム・材料の提案も行なっています。これらの結果をもとにエネルギー変換効率向上に資するシステムの設計にも取り組んでいます。

専門分野・研究対象

1. 新規な計算・データ科学手法・プログラムの開発

酸化還元・電子移動反応自由エネルギー計算 (DFT x Marcus理論)、化学反応自由エネルギー計算 (Blue-moonアンサブル)、多重MPI並列を利用した高効率熱力学的積分計算、スーパーコンピュータ「京」・「富岳」の高効率利用第一原理計算プログラムなど。


2. 固固・固液・固気界面現象の第一原理計算研究

界面構造、界面電子状態、界面水素結合、電気二重層、空間電荷層、界面分極、界面被膜などの界面特有の性質の解明。水分解 (酸素発生、水素発生) 、酸素還元、電解質酸化還元分解、ラジカル発生、被膜成長、イオン輸送、などの現象の微視的機構解明と、これらに関する電子・原子スケール理論の構築 。


3. 電池・触媒反応の原子スケール機構の解明と高効率材料・システムの設計

リチウムイオン電池、ポストリチウムイオン電池 (ナトリウムイオン電池、全固体電池、多価イオン電池、空気電池) 、ペロブスカイト太陽電池、色素増感太陽電池、金属担持酸化物触媒、ダイヤモンド電極触媒、光触媒 (TiO2系など) の原子スケール機構の解明と高効率化への提案。


お問い合わせ先

界面計算科学グループ
〒305-0044 茨城県つくば市並木1-1
TEL: 029-859-2626
E-Mail: TATEYAMA.Yoshitaka=nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)