腐食特性グループ

高度経済成長期に多く建設されたインフラ構造物の腐食による高経年劣化が、年々深刻な問題になっています。腐食特性グループでは、多くの腐食課題の解決のため種々の環境下にさらされた金属材料の表面および界面で生じる様々な腐食劣化挙動について調査しています。さらに、それらの機構解明を通してさまざまな使用環境における金属材料の信頼性や耐久性の向上に貢献することを目指しています。

専門分野・研究対象

1. KFM-EBSD統合解析による耐食性評価

表面電位を検出するケルビンフォース顕微鏡 (以下、KFM) と結晶組織を解明する後方散乱電子回折法 (以下、EBSD) を同一視野で統合的に解析することにより、従来のKFM解析による異相界面電位差に基づく腐食起点探索に加えて、EBSD解析による起点発生から伝播に至る結晶学的な知見を得ることが可能となりました。 本テーマでは、KFM-EBSD統合解析を用いて、
(1) 革新的構造材料の耐食性評価
(2) 接合溶接部における腐食発生・伝播のマルチスケールモデル解析
を重点課題として取り組み、社会実装を目指した安心・安全な構造材料開発に貢献することを目的としています。



2. Mg合金のための耐食被膜の開発

自動車や電車などの輸送機器の軽量材料として期待されているMg合金は、Mgが生体必須元素で、生体内で腐食溶解することを活かした生体内溶解性金属材料として、ステントや骨固定材への応用が検討されています。いずれの場合でもMg合金の実用化に必要とされているのは、表面処理による耐食性向上です。本テーマでは、構造材料用の高耐食性被膜から生体材料用の吸収性被膜まで、使用環境に適した耐食性を示す被膜の開発を行っています。リン酸カルシウム被膜やポリマー修飾リン酸カルシウム被膜などを検討しています。


3. 耐食性を改善する電気化学表面処理法の開発

ステンレス鋼やジルコニウムなど、塩分を含む環境中で局部的に腐食が生じる問題を解決するため、その腐食機構の解明と、電気化学反応に基づいた防食のための新規表面処理法を開発しています。材料表面には微粒子状の欠陥が大量に露出していますが、これらの欠陥のうち、腐食発生の起点となるものを選択的に除去することで、大幅な耐食性の改善を実現します。医療用金属材料、構造材料をはじめ、さまざまな製品への適用を目指しています。


4. 鉄鋼材料の大気腐食評価法の確立と腐食メカニズムの解明

インフラ鋼構造物は長期信頼性を求められるため適切な補修や補強を行う必要があり、その材料選定などを行うためには大気環境下での鉄鋼材料の腐食メカニズムの解明が必要不可欠です。本テーマでは、鉄鋼材料の大気腐食評価法を確立するため、電気化学インピーダンス法による腐食速度のモニタリングを検討しています。また、屋外環境における鉄鋼材料の気温と相対湿度を制御して構築した大気腐食模擬環境下で鉄鋼材料の腐食試験を行い、環境因子と腐食挙動との関係を明らかにすることを目指しています。