バイオポリマーグループ

2023.04.01 更新

医学あるいは歯学領域の医療ニーズに対応した高分子材料の分子設計、合成および評価を行います。特に、材料と生体組織との界面における相互作用を分子、細胞、組織レベルでの複合的な解析によって理解し、得られた知見を材料設計へのフィードバックとすることにより、生体接着材料等の革新的な高分子系生体材料創出を目指します。材料に関する基礎的・基盤的知見の蓄積に留まることなく、医学/歯学系機関、企業との連携へと発展させ、臨床応用へ展開します。

専門分野・研究対象

「接着」・「界面」をキーワードとして、自身の機能によって生体組織の再生・治癒を誘導する生体材料の基礎研究を行っています。医歯学系機関、企業と積極的に連携し、基礎から応用研究へ展開しています。


高強度・生体親和性接着剤の開発

低温・高濃度でも流動性を示すスケソウダラゼラチンの一部を疎水化した「疎水化タラゼラチン」と「反応性ポリエチレングリコール架橋剤」の2成分から構成される高強度・生体親和性接着剤の開発を行っています。




早期消化管がん除去後の傷口を被覆する粒子の開発

内視鏡による早期消化管がん除去後の傷ついた消化管組織に接着してゲル層を形成し、組織の再生を促進する粒子を開発しています。内視鏡を通して簡便にがん除去部にデリバリーすることができ、組織に接着、被覆後、体内で分解・吸収されるため、組織の修復後に再手術をする必要はありません。内視鏡手術後の食道がん除去後の狭窄や大腸・十二指腸穿孔などの合併症を予防する医療材料としての応用が期待されます。




1液型ホットメルト組織接着剤の開発

温めて塗るだけで手術後の傷を治す医療用接着剤を開発しています。ゼラチンの分子間相互作用を制御することによって、加温によって液状になり、体温で硬化する「ホットメルト」特性を導入した組織接着剤を設計しました。この新しい接着剤は1液型で取り扱いが容易であり、組織接着性、生体適合性、さらに手術後合併症の予防効果も高いなど、医療材料として優れた特徴を併せ持っています。