石田暢之 NIMSポスドク研究員の論文が、「JVSTA」表紙絵に採用

2012.09.12 更新

 石田暢之NIMSポスドク研究員 (ナノ表界面計測グループ) と藤田大介GREENコーディネーターは、TiO2表面の超親水化に紫外光照射 (光励起キャリア生成) が必要ないことを実験的に実証しました。成果を「Journal of Vacuum Science & Technology A」30, 051402 (2012)に発表し、同誌の表紙に採用されました。

紫外光照射によってTiO2表面で生じる超親水化現象は1997年の発見以来盛んに研究が行われ、現在では防汚・防曇コーティング材料へと応用されています。しかし、その発現メカニズムに関しては未だ議論が行われおり解明が望まれていました。本研究では、プラズマによって生成される活性酸素種による表面処理を行うことで有機汚染層が除去され、表面が超親水化することを実験的に示しました。これは、TiO2清浄表面が暴露され表面エネルギーが大きくなったことから説明されます。また、新たに表面有機分子層と清浄TiO2領域の被覆率から求められる実効表面エネルギーの概念を提案し、臨界被覆率と表面エネルギーとの相関を明らかにしました。

この成果は、これまで提案されていた光励起キャリアと水分子の反応によって生じる表面水酸基の形成が必要条件でないことを初めて明確に実証し、光触媒効果による有機汚染層の分解がTiO2光誘起超親水化のメカニズムであることを強く裏付けました。

【論文タイトル】

 "Superhydrophilic TiO2 surfaces generated by reactive oxygen treatment"
 Authors: Nobuyuki Ishida, and Daisuke fujita